聴こえなくても、目と指で覚えたピアノや歌
――補聴器をしていれば、少し聴こえるんですよね?
うさぎ 音や声は入ってくるんですけど。言葉はやっぱり相手の口の動きを見て読み取ります。
――難聴うさぎさんは、子どもの頃からピアノが弾けたそうですね。
うさぎ 母がピアノの先生なので、教えてもらいました。
――どうやって弾き方を覚えたんでしょう?
うさぎ 楽譜の読み方を覚えて、楽譜を読みながら鍵盤を弾くという感じです。耳を通さず、目と指で弾くという感覚ですね。音の振動は感じるんですけど、ドレミファソラシドのどれなのかはわかりません。
――ボイストレーニングもやってらっしゃるんですね。そういう状況の中で歌えるっていうのはすごいです。
うさぎ ボイトレは最近始めました。歌も感覚で歌います。
――難易度がかなり高そうです。歌う練習はつらくはないんですか?
うさぎ 子どもの頃やっていたら、つらかったかもしれないですね。今は需要があるというか、動画のネタにもなるので、やりがいがあって楽しいです。
――ピアノは今も弾いてますか?
うさぎ 楽譜を買ってきて、たまに弾きたい曲を弾いています。ジブリの曲が多いですね、あとは「ハナミズキ」とか王道系。子どもの頃弾いていたクラシックも時々弾きます。
――難聴でありつつ音楽が得意というのはすごいですね。
うさぎ 得意かどうかは分からないけれど、好きですね。
世間の反響
――街中で「難聴うさぎさんだ!」と気づかれることとかもありますか。
うさぎ 沖縄や北海道では声をかけられるんですが、都内では全く。でもあとから「この時間この場所にいましたね。話しかけようか迷ったけど……」みたいなDMは、しょっちゅうきます。
――SNSでの発信を始めた当初の、世の中の反応はどういう感じでしたか。
うさぎ 始めたのが8年ぐらい前なんですが、当時はあまり障がい者が前に出てなかった印象でした。 耳が聴こえない人だと、手話の歌をやってる人はいても、声を出す人はいなかった。だから、私が初めて声を出した動画は、けっこう再生回数が伸びましたね。
中には「声がヘン」というコメントもありました。「あれ、そうなの?」と 母に「私の声って、ヘンなの?」と聞いてみたんですけど、母は「ヘンじゃないよ」って。まあ母はわたしの喋り方に馴染んでしまっているんでしょうね。
――難聴うさぎさんがしっかりしゃべるから、視聴者は「この人、聴こえないわけじゃないよね?」と混乱するんでしょうね。
うさぎ わたしの声に違和感があるというのは、自分では気づけないことだから「そうなんだ~」と好奇心が芽生えて。 こういうことを具体的に発信したら、また再生回数が伸びるんじゃないかなって。
――そういう方向でとらえるとは、戦略家ですね。
うさぎ コメントをマイナスに取っちゃう人もいると思うんですけど、私はそういう方向で考えますね(笑)。

