3バックのセンターポジションで、最終ラインを統率し、日本の守備を統括するのが谷口彰悟だ。最終予選からセンターのポジションを任されるようになり、逆転勝ちしたブラジル戦、1-0で完封勝利を収めたイングランド戦もセンターを任された。今回の代表では長友佑都に次ぐ年長(34歳)で、チームのまとめ役も担う。

 谷口は、エリートではない。

 高い危険察知能力とクレバーな守備で成り上がってきたが、代表に恒常的に招集されるようになったのは30歳からで、海外への挑戦は31歳だった。海外や代表絡みでいえば、遅咲きの選手である。

ADVERTISEMENT

©JMPA

Jリーグ歴代2位の155試合連続試合出場

 谷口は、筑波大出身で大学時代はサッカーだけではなく、保健体育の教育免許も取得した。2014年に川崎フロンターレに入団、最初はセンターバックではなく、左サイドバックでの起用が主だった。レギュラーに定着したのは、17年シーズンからだ。不動のセンターバックとして、川崎が誇る爆発的な攻撃陣を背後で支えた。

 谷口がその鉄人ぶりを高く評価されたのは、連続試合出場記録だ。2014年8月の名古屋戦から19年4月の鳥栖戦で欠場するまで、155試合連続試合出場を記録、これはJリーグ歴代2位の快挙だった。

 2020年にはキャプテンになり、チームを牽引し、リーグ優勝、天皇杯の2冠を達成。この頃から海外移籍を口にするようになった。「年齢的にもうラストチャンス」と覚悟を決め、中東への移籍を決めたのは、カタールW杯が終わった後の22年12月だった。

©JMPA

カタールW杯、3戦目で出場「よっしゃ、やっと来た」

 カタールW杯で、谷口は自分自身の価値を高めた。

 ドイツ戦、コスタリカ戦と出番がなかったが、グループリーグ突破を賭けた3戦目のスペイン戦に左センターバックとして出場した。2日前に森保一監督にスタメンを言い渡され、「よっしゃ、やっと来た。やってやるぞ」と思った。

 試合は「最初は緊張した」というが、相手がヘッドアップできないぐらいのプレッシャーをかけつつ、得意の読みの良さでボールを奪った。最少失点でスペインを抑え、逆転勝ち。

「すごい緊張感のなか、強い相手に勝てたのは最高」と笑みを見せ、つづくクロアチア戦でもスタメンで出場した。最後、PK戦で負けた後、谷口は冷静にこういった。