東アジア勢の減速、活気づく欧米の不動産投資ファンド

 日本のマンションを好んで購入しているのは中国や台湾、香港などの東アジアの人たちだ。だがコトがそう思惑通りにいくかといえばここにも暗雲が漂い始めた。中国経済の失速によって新規の購入需要が減退していることに加え、経営管理ビザなど在留資格の厳格化により、在留しようとする外国人に対しては政府が規制を強化し始めている。また自国不動産の下落は、日本で所有しているマンションなどの資産を売却して損失を補う動きにもつながっている。

 いっぽう、オフィスビルや賃貸レジデンス、商業施設、ホテルなどの不動産については欧米の不動産投資ファンドによる大型買収が活気づいている。彼らは欧米の機関投資家などをバックに豊富な資金を預かっている。円安を梃にして日本の優良不動産を次々に取得しているのだ。

金利の引き上げで苦境に立つ国内勢

 フジ・メディア・ホールディングスがアクティビストなどの突き上げを受けて多数の不動産を所有する不動産子会社をスピンオフ(分離)することが話題になっているが、1兆円を超えるともうわさされるこの巨額ディールに群がるのは日本の大手デベロッパーではなく、欧米の不動産投資ファンドだ。

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 なぜなら金利の引き上げは有利子負債で4兆円前後にもなる大手デベロッパーの財務をじわじわと脅かし始め、身動きが取れない状況に追いやっているからだ。彼らの負債の多くは長期固定債務で短期的な影響は少ないものの、固定期間は長くなく、新たな巨額ディールに向かうだけの余裕はない。長期貸出の指標である金融機関の長期プライムレートも最近は度重なる引き上げが行われており、みずほ銀行は6月10日より長期プライムレートを3.05%から3.15%に引き上げることを発表している。マーケットはこうした状況を織り込み、大手デベロッパーの株価は冴えない。

写真はイメージ ©TECHD/イメージマート

 残念なことにこの失われた30年で日本はその経済的地位を大幅に落としている。ドル円レートはコロナ前と現在で45%程度の円安になっている。インフレがすすむ米国では物価高騰がすすみ、物価水準では肌感覚で日本の3倍程度になっていることは、先日ニューヨークに出張してみて如実に感じるところである。

 高騰したマンションの出口は中国人頼み。都内優良大型不動産は欧米人の手に。不動産マーケットは外国人による分離占領が始まっているのだ。