都心の中古マンション価格が下落をはじめている。東京カンテイの調査レポートによればこれまで一方的な右肩上がりで上昇を続けてきたマンションマーケットが、今年になって2月、3月連続で前月比0.2%の下落を記録したのだ。
とはいえ下落幅は各月0.2%にすぎず、この数値をもってただちにマンションマーケットが下落に転じたというものではない。だが通常であれば毎年2月、3月は新年度を前にして住宅が最も動く時期。価格は堅調に推移するものだが、わずかとはいえ前月を下回り続けていることに業界関係者の驚きは隠しきれない。実は気になる動きが現場のあちらこちらですでに顕在化しているのである。
売り出し価格と成約価格の乖離
中古マンションを売却する際、売主側は自らが希望する価格でマーケットに出す。これを売り出し価格という。いっぽう売却は交渉事だ。買い手の希望する価格とマッチしなければ取引は成立しない。業界では仲介の成立した価格を成約価格として記録している。
今業界内で囁かれているのが売り出し価格と成約価格の乖離だ。東日本不動産流通機構のレポートによれば、2026年3月の東京都心3区における中古マンション売買において、売却希望単価が1㎡あたり322.8万円だったのに対して成約価格単価は243.34万円と価格差で79万円、希望価格の75%の価格でしか成約できなかったことが記されている。
もちろんこの乖離は個別物件での数値ではないこと、好調なマーケットを背景として売主側が強気の価格付けを行う結果ともいえるが、通常はマーケットが好調の時には売り出し価格と成約価格の乖離は小さくなることを考えると、マーケットでは明らかな変調のサインが出ているといえるのである。
金利上昇が市場を圧迫
背景にあるのが金利だ。現在政策金利は0.75%。日銀はイラン情勢を見極めるとして4月の利上げこそ見送ったものの、物価高に対する警戒を強めていて、多くのエコノミストが6月の利上げは回避できないのではないかとしている。政策金利の引き上げは変動金利型住宅ローンの金利引き上げに連動しており、マンションマーケットにボディブローのように効いてくる。
また10年物国債利回りは、5月16日現在で2.723%。1年前に比べて1%以上高い利回りになっている。長期金利は日銀の利上げとは関係なく将来のインフレを織り込みながら上昇を続けている。住宅ローン固定金利は長期金利の影響を受ける。みずほ銀行固定金利型住宅ローンは期間10年ですでに2.95%から3.40%の水準(5月16日現在)に引き上げられている。
