でも、クロスの場面になると途端にわからなくなる。パスの出し手と受け手である自分がいて、そこにDFの選手が絡むと、脳の回路が働かなくなる。

 例えば、GKと1対1の場面で横にパスを出してゴールへ流し込むようなシーンも、本当のところはあまりわかっていない。

 相手の最終ラインと駆け引きして、ぎりぎりのタイミングで背後へ飛び出して点を取っているように見えても、僕にとっては感覚だけで成立しているプレーだったりする。

ADVERTISEMENT

 ドイツ戦でも、ルールをわかっていなかった。だからオフサイドで取り消しになったのもどこか腑に落ちていない。

「せっかく決めたのに、なんでやねん」

 大一番だというのに、内心では強めのツッコミを入れていた。

オフサイド判定に悔しがる前田大然 ©JMPA

やるべきことをやったから勝てた

 W杯で過去4回優勝しているドイツは、めちゃくちゃ強かった。

 序盤からかなりボールを持たれて、日本は完全にゲームを支配されていた。前半を終えて0対1というスコア以上に手も足も出なかった印象で、自分のプレスも空振りに終わるシーンが多かった。

 好転のきっかけは、後半になってからのシステム変更だった。

 3‒4‒2‒1になって各ポジションの役割が明確になると、少しずつ狙いとするボール奪取ができるようになっていく。

 自分は相変わらずチームの先頭に立ってボールを追いかけ、攻撃時は相手の背後を狙い続けた。後半12分にベンチへ下がるまで、持っているすべてのエネルギーを注ぎ込んだつもりだ。