「処方ありき」のオンライン診療は通販でしかない

──オンライン診療では、全く適応ではない患者さんに不必要な薬が処方されるということが起こりやすいわけですね。

大塚 オンライン診療は「処方ありき」のサービスが多いんです。

 患者さんの相談に対し丁寧に診察し、「むしろ薬は使わない方がいいですよ」「あなたが思っている病気とは違う可能性があるから検査しましょう」と導くのが本来の医療です。「薬が欲しい」と言う患者さんに対しそのままオンラインで薬を処方するのは医療ではなく、通販でしかない。そこが大きく取り違えられてしまっている部分かと思います。

──確かに、ネット上にあふれるオンライン診療の広告は「マンジャロ 1カ月あたり○○○○○円」「フィナステリド・ミノキシジル 月額○○○○円」など通販のような広告が多い。

大塚 本来の医療から外れ、利便性優先で、いかに早くストレスなく買えるかみたいなところばかりがフォーカスされて、「本当にこの人にこの薬がいるのか」「本当に本人が思っている病気なのか」という視点が完全に抜けているところにトラブルが絶えない根本的な原因があると思います。

──実際にオンライン診療や美容医療でずさんな診療をされて、先生のところに駆け込んでくる患者さんは増えていますか。

大塚 一定数いらっしゃいます。守秘義務の関係で具体的な話はできませんが、何かトラブルが起きた時に「うちでは診られないから大きい病院に行ってください」と言われて来る患者さんは以前に比べて増えています。美容医療を専門とする医師であれば普通は対応できるようなトラブルさえも診ることができない。医師であれば最低限知っていなければいけないことすらできず、大きな病院に送るケースが多いです。

──オンライン診療や美容医療に携わる医師の資質の問題も深刻になっているということでしょうか。

大塚 いわゆる「直美」の医師(初期研修を終えた後すぐに美容医療に進む医師)や、オンライン診療でアルバイトして楽に稼ぐ医師が増えているという問題が背景にあります。

 オンライン診療の枠組みに当てはめる形で働こうとすると、どうしても診察が雑になり、薬を出さない選択が取りづらくなる。「処方ありき」で受診する患者さんに薬を出さないとクレームにつながるし、単発のアルバイトでトラブルを抱えるのも嫌なので、ちゃんとした医師であっても、薄利多売のオンライン診療の枠組みの中に入ると、「小銭を稼げればいい」みたいに考えて、さっと診察して患者さんの言う通りに処方しておしまいにするようになるのだと思います。

──オンライン診療の枠組みの中では、医師としての判断の自由がなくなりがちということですね。

大塚 医師として「この人には薬を出さない方がいいのではないか」と思ったとしても、その判断が通りづらい仕組みになっていると思います。