大学時代に始めたブログの簡単レシピと軽妙な関西弁の語り口が人気を呼び、いまやレシピ本は累計780万部超のベストセラーを記録する料理コラムニストの山本ゆりさん。「暮らし」をテーマにした原田ひ香さん最新作『#台所のあるところ』を語ります。(前編はこちら)
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ファイナンシャルプランナーと話すときはなんとなく嘘を……
心理描写もリアルだ。自分でも気が付かなかった本音や経験したことのある空気感が本書の至る所にちりばめられていてハッとさせられる。ファイナンシャルプランナーと話すときになんとなく嘘つくとことか、SNSに反応無かったらちょっと恥ずかしくなるところとか、ときどき痛い所をつかれる感じもある。
〈「まあ、君は自分がしたいようにしなかったら気が済まないでしょ」
小さな画面の中の夫は苦笑、いや、冷笑している。ちょっとひやりとした。
「でも、歳を取れば、むしろ、身体が利かなくなるから、その前に家事しやすいようにしておいた方がいいと思うんだよね」
自分で言って、自分で答えてる。
「だから、いいんじゃないって言ってるでしょ」
彼はもう冷笑はやめて、静かにうなずいた。一瞬前の夫の姿は敦子の気のせいだったような気がするほど、彼はまた協力的で優しい姿に戻った。〉(p.266-267)
この相手の反応に対するちょっとしたヒヤッと感。別に怒られるわけでもない、良い人なんだけど、なんか削がれていく感じとか、自分で聞いた質問に自分でどんどん答えていくところもわかるー!
〈自分は東京の二十代女性の平均値、ということなのだろうか。〉(p.63)
つまらない人間だと言われてるわけではないけど、なぜか落ち込んでしまう心理。合ってるのに、いいえ違いますって言いたくなる(笑)。
〈皆の厳しい意見がただただ、気持ちよかった。〉(p.206)
自分では絶対書かないけど、SNSで自分と同じことを思って叩いている人をみて、胸がスッとすることってあるんですよね、残念ながら。
〈もしかしたら、自分が介護のことを考えていないのを責められていると思ったのかもしれなかった。〉(p.276)
「あなたは気にしなくていいよ」というただの母親の優しさかもしれないけど、声色や雰囲気でなんとなく感じる、責任感のある母親だからこその罪悪感。なんで書けるのでしょうか。
