約5万人に1人が発症する先天性の難病「トリーチャー・コリンズ症候群」の当事者として発信を続ける山川記代香さん。顔の骨がうまく形成されないこの疾患により、山川さんはこれまでに17回もの手術を受けてきた。そんな山川さんが、幼少期から向き合い続けてきた"視線の凶器"とは何か。

山川さん 写真=原田達夫/文藝春秋

「周りに見せたくないと思ってしまった」

 山川さんは、妊娠中に何ら異常が指摘されなかった中で生まれ、出産直後に診断を受けた。口蓋裂により口からミルクを飲むことができず、鼻からカテーテルを通して栄養を摂取する生活からスタートした。母親はその事実を受け止めるのに時間がかかり、入院中の1ヶ月間はなかなか会いに行けなかったという。

 外出時に受ける視線も、幼い頃から山川さんを苦しめた。「大体言われることは、『怖い』『変な顔』『お化けみたい』の3パターンと決まっていました」と山川さんは語る。ベビーカーの幌を目いっぱい下ろして人目を遮り、写真を現像に出せばよその目に触れてしまうと、両親は現像不要のポラロイドカメラで娘を撮り続けた。

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 書籍制作のために幼少期の写真を探した際、たまたま生まれたての自分の写真を発見した時も「かなりびっくりした」という。「周りに見せたくないと思ってしまった」と振り返る山川さんの言葉は、見た目の違いをめぐる感情の複雑さをそのまま映し出している。

 自分自身がそうした感情を抱いた経験があるからこそ、山川さんは「どちらの気持ちもわかる」と言う。差別する側を一方的に断罪するのではなく、その感情の根っこにある戸惑いや恐怖を自らの体験として知っている——その視点こそが、山川さんの発信を深みのあるものにしている。

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