かつて小学校だった校舎から、牛が次々と出てきた——。平成9年頃に廃村となった北海道本別町・拓栄。住民のいなくなった集落で、昭和30年落成の校舎は牛舎として今も現役で使われている。
廃村探索28年の第一人者・浅原昭生による『廃村大全』(大洋図書)より、かつての学び舎が生き続ける“驚きの光景”を紹介する。
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かつての小学校が「牛舎」に変身
拓栄は、十勝川水系パンケ仙美里川流域、本別町役場から16キロの距離にある。その開拓には製炭業者がかかわった。電信電話綜合地図(帯広6/昭和32年)には、29戸と記されている。
住民は平成9年頃にいなくなったが、牧場の施設があって、学校跡の校舎は牛舎として再利用されている。
訪問時は夏、北隣の高度過疎集落美栄から峰越えの道を使って出かけた。途中に倒木があってあせったが、3人で力を合わせて乗り切った。
拓栄小学校は、へき地等級3級、児童数17名(昭和34年)、昭和15年開校、昭和50年閉校。牧場施設入口には「衛生管理区域 これより先に立ち入らないでください」という標示があったが、牧場で働く方の姿が見えたので、「旅の者ですが、牛舎となった校舎を見せていただけないでしょうか」とお願いしたところ、承諾を得ることができた。
校舎(牛舎)の手前、小屋の前には猫が4匹いて、なごやかな気持ちにさせる。牧場は暖かいので、猫も冬を越せそうだ。牛舎(校舎)からは牛が1頭顔を出していたが、餌場に干草が出されると、これを目指して次々と出てきた。
大空と大地が広がる北海道。特に道東では広大なジャガイモや甜菜(サトウダイコン)の畑、酪農の牧草地が各所に見られる。
年々酪農施設が大型化する中、昭和30年落成という校舎が今も現役なのは、廃校になって以来脈々と牛舎として使われ続けているからなのだろう。
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