残業月100時間以上のブラック企業を退社してYouTubeの世界に飛び込んだまめCHANNELさん。アマチュアレーサーだった経験を活かし、バイクで心霊スポットを旅する企画をスタートしたものの、後々「とんでもないことを始めてしまった」と戦慄することになったという。

 ここでは『会社を辞めてバイクにまたがり今日も会いにいく 日本一周心霊ノ旅』(KADOKAWA)から一部を抜粋して、まめCHANNELさんがホラーゲーム『SIREN』の舞台「羽生蛇村」のモデルとなった廃村でキャンプをした体験を紹介する。(全3回の3回目/最初から読む

『会社を辞めてバイクにまたがり今日も会いにいく 日本一周心霊ノ旅』より

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埼玉県の山中にある心霊スポットの廃集落でソロキャンプ

 日本一周を再開することになり、僕はまたバイクを走らせていた。前回の旅が終わった2月から約半年の時が流れ、季節はもう夏になっていた。

 今回の旅のコンセプトはキャンプ泊なので、バイクのキャリアーにはキャンプギアを積載している。

 今日の目的地は埼玉県の山中にあるのだが、山道に入ったところで雨が降ってきた。

 キャンプをするのに雨予報の日に出発してしまった。雷注意報も出ている。なぜこんな天気の日に旅に出てしまったのだろう。自分でもよくわからない。

 キャンプは小学生ぶり、ソロキャンプは初めてで、しかも心霊スポットに泊まる。それだけでも危ういのに、雨が加わるとどうなるか……。このときの僕は怖さを想像して震えるよりも、初のソロキャンプが楽しみでわくわくしていた。

 秩父の山中へ入り、ダム湖に沿った道を進み、さらに山奥へ進む細い道を登っていく。「熊出没注意」と書かれた看板が人里離れていることを感じさせる。

 細い山道は入り組んでいて、なかなか目的地へたどり着けなかった。見逃していたさらに細い道があり、ここからはバイクを停めて徒歩で向かう必要があった。

 木々に囲まれた道を進んでいくと、森の中には廃屋が見えた。道端には小さな社も建てられている。道中にある電柱は半ばから完全に折れてしまっていた。

 道はどんどん山奥へと進んでいく。昼間なのに、木々が陽光を遮って暗い。ヒグラシの鳴くカナカナカナ……という鳴き声が反響して、なんだか恐ろしく感じられた。

 重いキャンプ道具を背負って15分ほど歩くと、巨大な廃屋が現れた。苔が生え、朽ち果てており、ひと目で長い年月を感じさせる。

 よく見ると森の奥にはそこかしこに廃屋や、古い墓石のようなものが見える。

 間違いない。たどり着いた。

 ここが今日の目的地である廃集落、通称「羽生蛇村」だ。