残業月100時間以上のブラック企業を退社してYouTubeの世界に飛び込んだまめCHANNELさん。アマチュアレーサーだった経験を活かし、バイクで心霊スポットを旅する企画をスタートしたものの、後々「とんでもないことを始めてしまった」と戦慄することになったという。
ここでは『会社を辞めてバイクにまたがり今日も会いにいく 日本一周心霊ノ旅』(KADOKAWA)から一部を抜粋して、まめCHANNELさんが九州の有名な心霊スポットを訪れ、あるトンネルを歩いたときの体験を紹介する。(全3回の2回目/続きを読む)
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トンネルの中に木製のイス…座ってみることにした
九州に入ってから、長距離の移動が続く。東側の道をひた走り、次に目指すのは宮崎県だ。下道を通るので、約200km、5時間の距離。
やっとのことでたどり着いた「関之尾の滝」は日本の滝百選にも選ばれており、嫌な雰囲気は感じなかった。以前も思ったことだが、滝ではあまり心霊的な閉塞感を覚えないらしい。
その後はさらに南下して鹿児島県を目指した。冬の寒さはあるものの、バイクに乗ると少し暖かい風が体に当たる。道にはヤシの木が生えており、南国を感じた。
宿でのんびりし、砂風呂で生き埋め体験をしたあと、心霊スポットへ向かう。
目指すトンネルは、薩摩地域の半島の先、コブのようになっている山の麓にある。自然公園やゴルフ場を利用する人向けに造られたため、深夜帯には滅多に車の通行がない場所だ。心霊スポットとしては、周囲の林が自殺スポットになっているそうだ。天井の穴から女性の霊が覗いているといった噂もある。
トンネルは山を掘り進めたものではなく、コンクリートで造られた構造になっていた。
明かりはなく、のっぺりとした壁が少し傾斜しつつカーブしているので、先はライトを照らしても見えない。
奥へ進んでいくとさっそく天井に等間隔に無数の穴が空いている。僕は一つひとつライトで照らし中を確認する。もしも幽霊が天井から覗いているのをスルーしてしまったら申し訳ない。幽霊もせっかく覗き込んでいるのに寂しい思いをさせてしまうかもしれない。
ヤモリなどの小さな生き物が隠れ家にしていたり、手榴弾のような不審物が捨ててあったり、広くなったスペースには椅子が置いてあったり……なんだろうこれは。
何も怪しいところがない木製の椅子なのだが、こんな場所に置かれていると異様な感じがする。なぜか僕はその椅子に座ってみることにした。