奥田民生はなぜ多くのミュージシャン、俳優たちから慕われるのだろうか? 30年以上親交のある真心ブラザーズのふたりが考えるその理由とは……。(全2回の後編/前編を読む)

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――普段は民生さんと音楽の話をしますか?

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桜井秀俊 そんなにしない感じかな。する人とはするんですけどね。

――じゃあ食事したり、飲んだりするときはどんな話をするんですか?

桜井 やめたほうがいいなと思うんですけど、民生さんの癖はごはん屋さんに行って別の店の話をする(笑)。あそこのあれは美味しいみたいな話はやめたほうがいいんじゃないかって。しかもまた声が通るんですよ。いま目の前にある美味しいものをいただこうぜって思いますね。

©三浦憲治

YO-KING 詳しいからね、やっぱりラーメンとかカレーとか。同世代のミュージシャンで、どこどこのなにが美味いぞって情報交換し合って、当時イベンターに煙たがられてましたから。地元のイベンターより詳しいので、あの人は嫌だって(笑)。そういう意味では、生きるとか楽しむとかってことに、すごく貪欲な人だと思う。

桜井 そうだね。

YO-KING ちゃんと自分で情報を収集するし、興味のあることにはもう徹底して詳しい。

©三浦憲治

――桜井さんは以前、民生さんを「脱力の天才」と評していたことがありました。

桜井 そうですね。自分の肩の力を抜くことのみならず、なにかしら仕事を負わされそうになったとき、うまく避ける術を知ってるというかね。暗い雲が近寄ってくるときに、逃げる嗅覚みたいなものを持ってる人なんだろうなと思います。すうっといなくなる感じ。真正面から受け止めるってことをたぶんしない。

 人気者だし、たとえばマネージャーから「そろそろソロをやりましょうよ」みたいなことを言われるんだけど、はぐらかすんです。ソロで全部自分が背負うより、それならポテ伊東をやってたいみたいな。スポットライトを浴びるより、フィクサーでいるほうが好きなのかな。麻生太郎的な(笑)。よくわかんないですけど。ガキ大将っていうイメージを僕は持ってますね。

――かたやYO-KINGさんは、民生さんについて「普通にいい人」「明るい人」って。