――そうなんですか?
YO-KING すぐ痛いとか言うのも、きっとね。
桜井 かまってほしくて痛いって言ってるの?(笑) 本当に痛いわけではなく?
YO-KING いや、本当に痛いんでしょうけど、みんなに知ってほしいんじゃない?
YO-KINGが考える奥田民生が愛される理由
――言う人と言わない人がいますよね。
YO-KING そうそう。
桜井 普通は言わないよね、いい歳になると。
YO-KING でもそれをポップに言って、楽しい話題にするようなテクもあるから。ひとりっ子のかまってちゃんをかわいく出せる人。愛らしい人なんです。人気の根源はそのあたりにあるのかもしれない。
――そういう人間的な魅力の一方で、ミュージシャンとしての魅力はどこにありますか?
桜井 歌もギターも太いというか、こねないというか。小手先でなんとかするのは美学に反するんでしょうね。持ってるいちばんいい音を、ドーンとまっすぐ届けるみたいな。なぜエレキギターを持ってるかといえば、そういうドーンとした音楽をやりたいからだ、みたいな。
その太さは、その辺の人じゃちょっと真似できない気がします。このあいだ地球三兄弟でフェスに出たとき、久しぶりに民生さんが飲まないで――って言ってもビール1杯くらいは飲んで――ギターを弾いたら、火が出るようなものすごいギターを弾いて。「飲まないとすごいね」って、ちょっと失礼なこと言っちゃいました(笑)。
YO-KING 僕ね、上手さっていうものにあんまり興味がないっていうか、好きじゃないのが多いんですけど、民生くんの上手さは好きな上手さなんです。上手さだけを追求したら、本当はもっと上手いことできるんだろうけど、そこには行かずに、下手な味のカッコよさも残してる。
落語でも、上手いだけの落語ってやっぱり面白くなくて、ちょっとセリフが出てこないときにどう対処するかみたいな、それが面白い名人っているじゃないですか。志ん生じゃないけど。ああいうのって、AIの時代になっても機械が絶対出せない部分だから。