なぜミュージシャンは変わらずに若さをキープできるのかーー60代になってもかわらない藤井フミヤに聞くと……。(全2回の後編/最初から読む)
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ロックな曲を書いてもらうなら、やっぱり民生くんがいい
――これまでフミヤさんに対して、民生さんは曲を2曲提供していますよね。
藤井 最初はアルバム『F's KITCHEN』(08年)の「SUNNYで!」という曲で、2曲目が『F's シネマ』(09年)の「嵐の海」ですね。そこから、どこかで会えばお互いに「最近どうなのよ?」みたいな関係になった感じかな。
――『F's KITCHEN』はフミヤさんがソロ15周年を迎えたときのアルバムで、さまざまなアーティストがフミヤさんを料理するというコンセプトだったはずです。
藤井 そうそう。
――そのなかでなぜ民生さんに曲の提供を依頼したんですか?
藤井 ロックな曲を書いてもらうなら、やっぱり民生くんがいいんじゃないかっていうことだったんですね。「SUNNYで!」はレコーディングにも参加してもらってるし、「嵐の海」は民生くんがひとりで演奏したデモ音源を、そのまま使わせてもらいました。
ついでにMVにも出てもらったら、ミック・ジャガーとキース・リチャーズじゃないけど、バンド感を感じましたよ。実際、屋敷豪太がプロデュースする京都のイベント「chidoriya Rocks 2022」でも一緒にやったけど、そのときもいい具合にバンド感があって。
――音楽的にも共鳴する部分があるんですね。
藤井 意外とそうですね。短期間バンドを組んでもいいかも、って思うくらい。
キャーキャー言われてた自分を消したいと思ってるのかも
――「SUNNYで!」はカラッとしたロック、一方の「嵐の海」は艶やかなロッカバラードでしたが、フミヤさんから見て民生さんの曲の魅力はどこにありますか?
藤井 曲のタイプは違っても民生節がありますよね。コード進行もそうだし、メロディの癖っていうのかな。歌詞もね、民生くんは真剣なラブソングとか書けないでしょう?(笑)。そこが民生節なんだよね。ラブソングだとしても、絶対に真正面からじゃない。どうやって女の子を口説いてたんだろう?(笑)
――民生さんはモテるタイプですか?
藤井 どうなんだろうな。「最近ビジュアルの劣化が早い」って、このあいだ自分で言ってたけど(笑)。もちろんキャーキャー言われてたと思うよ、とくにユニコーンのころは。どちらかと言うと、そういう自分を消したいと思ってるのかもしれない。
――なるほど。「SUNNYで!」も「嵐の海」も、民生さんがセルフカバーするくらい民生さんらしい曲でしたが、フミヤさんにとっては歌いやすい曲でしたか?
藤井 意外と歌いやすかったですね。