2人とも基本はビートルズだし、洋楽を普通に聴いてきた世代
――フミヤさんと民生さんはボーカルスタイルが違いますよね。
藤井 全然違うね。
――音楽のスタイルも違うと思いますが、なにかしら共有できるところがあって。
藤井 世代も近いし、聴いてきたものがそんなに変わらないっていう部分はあるかな。基本はビートルズだし、洋楽を普通に聴いてきた世代だから、音楽の会話も自然にできる。年齢がもう少し離れると、その辺の距離感が変わると思うけど、MTVや『ベストヒットUSA』が登場して、それを観ていた世代だからね。
――フミヤさんも民生さんもライブが好きですよね。
藤井 そうね。俺は完全にステージの人間なので。レコーディングはステージで歌うための道具を作ってるようなもので、歌ってなんぼなんですよ。ミュージシャンのなかにはレコーディングが好きな人もいるけど、民生くんはどうなんだろう?
――民生さんも、ツアーをやるために「どんどんアルバムを出さないといけないと思っていた」と話していますね。
藤井 じゃあステージの人だ。そういう人たちは、ステージに取り憑かれたようなところがあるんだよね。
――ミュージシャンでないとわからない快楽なのかもしれません、それは。
藤井 あれに勝るものはないと思うよ。コロナ禍でライブができなくなったときに、余計に感じました。それまで普通のことだと思っていたけど、あんなに楽しいことをやっていたんだって。
ツアーと言ってもいろいろなものがくっ付いていて、まず旅じゃないですか。さらに歌うことは肉体を使うことなので、スポーツのような爽快感や充実感もあるし、ましてや観客が喜んでくれる。それでビジネスになるわけでしょう?
葉加瀬太郎がうまいこと言ってたんだよね、「こんなに楽しいことをしているのは、本当はあまり人に言ったらダメ」みたいな(笑)。もちろん疲れるし、苦労もあるけど、ステージで歌っているときがいちばんミュージシャンをしている実感がありますね。
ステージがいちばんのアンチエイジング
――ステージを続けることは、ずっと若々しくいられる秘訣でもありますか?
藤井 ステージがいちばんのアンチエイジングだと思う。ポール・マッカートニーもミック・ジャガーも、ステージをやらなくなったら玉手箱を開けた浦島太郎みたいになるはず(笑)。あまり老けないんだよね、ミュージシャンって。多少太るとか、薄くなるとか、そういうのはあるけど、みんな若々しいのはステージが理由じゃないかな。
ステージに立って、いいパフォーマンスをするためには、健康でないといけない。昔は「セックス&ドラッグ&ロックンロール」とか言っていたでしょう。でもそんな考え方はもはやないよね。いまは「ヘルシー&ビューティー&エクササイズ」だから、ロックですら(笑)。
ただ酒やタバコはやめられないもんだよね。とくに民生くんの世代は、みんなバカスカ吸って、酒も飲んでるから。俺らの世代もまだ飲んだり吸ったりしてるけど、上の世代は酒もタバコもほぼやめた人が多い。