よくあるのが、医者から家族に「もう最期なので、なるべく一緒にいてあげてください」と言われるケースだ。そうなるとトイレの間もシャワーの間も、夜寝ている間すら「大丈夫かな」と、緊張して待っていなくてはならない。もしトイレに行っている間に亡くなってしまったら「なぜあの時トイレに行ってしまったんだろう」と、自分を責め続けることにもなりかねない。岡山先生は言う。

「治療について一緒に悩んでいる人は、すでに、親との“別れの道”を一緒に歩いているんです。別れの絆は、もうできています。だから、最期の時、その時だけにこだわらなくて大丈夫。それは、親がその時を選んだだけの話ですから」。

このように、看取りのプロセスに納得して、精神的なわだかまりをなくしておくことが、きょうだい間の不要な衝突を防ぐ第一歩となる。

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しかし、介護や親の看取りをめぐって、もう一つトラブルの火種になりがちなのが、金銭的な問題だ。岡山先生は「親の介護は親のお金でするのが大前提」としつつも、様々な事情からそうならないケースがあると語る。親に十分な貯蓄や資産があるにもかかわらず使いたがらない場合や、そもそも家に十分なお金がない場合など様々だが、子どもが医療費や介護費用の支払いを余儀なくされるケースもある。

医師が経験したきょうだいトラブル

岡山先生自身、親の金銭問題で苦労した一人だ。詳しい話は先述の著書にゆずるが、岡山先生の母は宗教にハマってお金を浪費し、度々4人の娘にお金の無心をするようになったそうだ。次女である岡山先生は突っぱねていたものの、次第にお金を工面していた長女や四女に負担が集中することに。このままでは、姉妹間で不公平感が高まってしまう。

そこで始まったのが、積立貯金だ。一人月に1万円ずつ貯金し、親のためにお金が必要な時に使うことに決めた。結果的に積立金は、遠方の姉妹が親の用事で帰省する際の交通費や、急遽母が入居することになったサービス付き高齢者住宅の頭金などに活用できたという。