「(姉は)全く問題ない」

 ほどなく救急車が着いて救急隊員から「どこの病院にしますか」と聞かれました。父が単身赴任中で不在だったので、母は電話で父に相談したんです。父が札幌市外にある知人が開業していた病院を勧めてきたので、指示された病院に母が姉を連れていきました。私は叔父の車で向かっていたのですが、なぜか途中で車が引き返してしまい、私だけそのまま家に戻りました。すでに夜9時頃だったことから、帰りの時間が遅くなることを心配した母が判断したのかもしれません。そのため、この時は姉が連れていかれた病院を知ることはできませんでした。

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 翌日、父が単身赴任先から帰ってきました。驚いたことに、姉も一緒でした。姉の様子を尋ねると、父は、

「全く問題ない。医師からは『精神病院に入院すると心の傷になるから』と帰されたんだ」

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 というような説明をしました。

 この説明には納得がいかなかったものの、父がそう言うのであれば、私が昨夜の姉に対して持った印象は極端だったのかもしれない、考えすぎだったのかもしれない、とその時は考えました。

 姉の最初の発作があった数日後、別の高校に進んだ中学時代の友達に、この時のことをバスに乗りながら打ち明けたことを覚えています。けれど姉のプライバシーに深く関わる話を誰かにするのは怖くもあり、今思えば根拠のないあやふやな情報しか伝えられず、相手も困惑していたと思います。私も友達もまだ16、7歳で、受け止められる年齢でもありませんでした。

 学校の先生に相談したこともありましたが、その時もやはりはっきりとした答えは返ってきませんでした。