女性は治験から外された

 医学・医療において男性がデフォルトとなった大きな原因として、1960年前後に世界的に起きた「サリドマイド事件」が挙げられます。妊娠初期の妊婦が安心な鎮静・睡眠薬として販売されたサリドマイドという薬を服用したところ、副作用によって、約1万人の胎児に手足の欠損などが生じた薬害事件です。

 その後も妊婦が服用する別の薬で薬害事件が起きたことから、米国食品医薬品局は1977年、妊娠可能性のある女性を薬の治験に参加させるべきではないというガイダンスを発令。女性は薬の治験を含む臨床研究から除外され、男性のみでの研究結果をそのまま女性にも当てはめるという状況になりました。

 ちなみに、動物実験でもオスだけが使われる傾向が近年まで続きました。メスは排卵などホルモン状態の変動が大きく、オスに比べてデータが取りにくいからです。

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「女性の健康総合センター」がある国立成育医療研究センター

 人間に話を戻すと、1985年に米国公衆衛生局の医師が女性のデータ不足を指摘。それを受け、米国国立衛生研究所(NIH)は1986年、女性や少数民族・人種を研究対象に含めるよう義務づけます。

 1990年、NIH内に、女性の健康研究局(ORWH)が設立されました。私たちにとって先駆けの組織であり、世界の女性医療の幕開けといっても過言ではありません。

 他方、日本で性差医療が浸透するには時間が必要でした。

※この続きでは、日本に性差医療が浸透するまでの経緯を解説しています。約7000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年7月号に掲載されています(小宮ひろみ「高市首相が主導した『性差医療』とは」)。

■小宮ひろみ(こみや・ひろみ) 1986年、山形大学医学部を卒業。福島県立医科大学附属病院性差医療センター部長などを経て、2024年10月より現職

文藝春秋

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高市首相が主導した「性差医療」とは

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】高市早苗「書かれざる履歴書」/特集 かんたん長生き体操/佐藤愛子秘話 佐伯泰英

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