がん患者専門の緩和ケア診療所を営む萬田緑平氏は、著書『棺桶まで歩こう』(幻冬舎新書)が13万部を突破。一方、東京都健康長寿医療センター研究所「中之条研究」部門長の青栁幸利氏は、「1日8000歩/速歩き20分」が多くの病気予防に有効という健康メソッドを見出したことで知られる。
寿命や健康と、歩くことの関係を見つめてきた両氏が、どうすれば死の直前まで歩けるのかを語り合った。
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亡くなる前日まで自分でトイレ
青栁 萬田先生の本の帯に、「歩けるうちは人は死なない」とありましたが、自分の足で歩ける状態で最期を迎えられるのであれば、とても素晴らしいことですよね。
萬田 僕の診療所を訪ねてくる患者さんは、余命宣告をされて、抗がん剤治療をやめることにした人たちですが、亡くなる前日まで自分でトイレに行ける人も多いです。
この患者さんの動画を見てください(スマホで動画を流す)。彼女は食道がんで咽頭が狭くなっていて、1日に800ミリリットルほどの水分と栄養を摂るのが精一杯。だから体重はたったの25キロです。それでもスッと立ち上がって大股で歩けるでしょう。1人暮らしで普通に生活できています。
青栁 こんなに痩せているのに、背筋をしっかりピンと伸ばして歩けていますね。
萬田 この動画は、別の子宮がんの女性患者で、余命1~2週間と言われて家に帰ってきました。1人暮らしで当時60歳くらい。CTで見るとがんは拳くらいの大きさだった。ほとんど歩けず、食べられない状態だった上に、抗がん剤の副作用で足の指が潰瘍になり、グジャグジャでした。来たときは抗がん剤治療をやめて2週間くらいだったかな。抗がん剤が抜けたら、食欲が出てくるかもしれない。「頑張って歩く?」と聞いてみたら、「私、食べられないから頑張れない」って言うんです。

