なぜ老いは、「肩が前に倒れ、首~頭が前に出る」という形から始まるのでしょうか。理由はとても単純で、「人の頭はとても重い」からです。頭の重さは、体重の約8%。体重60kgの人なら、約5kgに相当します。5kgというと、よく売られているお米の袋と同じ重さです。

それだけ重たいものを支えているのですから、体にかかる負荷は相当に大きいということが想像できるのではないでしょうか。頭の重さは年を取ってもほとんど変わりません。しかし、重たい頭を支える背中の筋肉は、年齢と共にどんどん弱っていきます。その結果、背筋(はいきん)は頭を支えきれなくなり、首~頭が前に出てしまうのです。

「肩の老化が始まっている」4つのサイン

さらに、背筋には背中をシャキッと伸ばし、よい姿勢を保つという役割もあります。背骨そのものに大きな問題がなければ、背中が丸くなる原因の多くは、筋力の低下です。

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背筋が弱る→体をまっすぐ保てなくなる→腕の重みが前方にかかる→肩も前に倒れていく。こうして、肩から始まった老いが、全身へ広がっていきます。

この状態を放っておくと、「肩が前に倒れた姿勢」「首~頭が前に出た姿勢」が体に記憶されてしまいます。その結果、肩・首・背中まわりの筋肉や腱(けん)、靭帯(じんたい)が硬くなり、関節の動く範囲(可動域)が狭まっていくのです。

肩の老化度は、次のような症状があるかどうかでわかります。

□ 腕が上がりにくい
□ 肩や首、背中に張りや痛み、違和感がある
□ 後ろを振り向きにくい
□ 首を後ろに倒して天井(真上)を見上げられない

特別な病気などがない場合、このような症状は、肩から始まる姿勢の崩れによるものです。当てはまるものがあれば、すでに肩の老化が始まっているサインです。そして、この状態こそが、転倒しやすい体への入り口なのです。

「ひざの曲がり」は無意識の帳尻合わせ

ここまで、老いが肩から始まり、全身のバランスを崩し、転倒へつながっていく流れをお話ししてきました。では、これほど明確な変化が起きているにもかかわらず、なぜ多くの人は「自分の老い」に気づけないのでしょうか。