組合の理事長が年度決算の内容の説明を開始すると、区分所有者の1人が質問に立ちました。その内容は、
「総会資料は日本語で書かれていますが、このマンションの所有者の多くに、私たち中国人がいる。資料は少なくとも中国語、英語の標記を併用したらどうか。また総会運営も中国語、英語の通訳をつけるべきではないか」
という驚くべきものでした。
確かに、総会資料は区分所有者にマンションについての意思決定を行なうための重要な内容を含むものです。言語の壁によって外国人所有者にその内容が十分に伝わらないということは避けるべきことです。
高級なタワマンほど外国人を忌み嫌う?
もともと日本人しか買わないだろうという、これまでの常識で考えてきたマンション管理の世界にも、グローバル化の波は押し寄せています。実際、日々の生活上のトラブルの多くが互いの意思疎通に問題が多く存在することについては触れてきましたが、意思疎通を行なう大事なツールであるはずの言語が障害となっているケースが見逃されてきたように感じます。
日本人が「日本人にとっての当たり前のルール」であっても、外国人にとってはまったく理解不能のルールであることは重大な齟齬を生じる原因となります。彼らに通じる言語によって説明し、理解を求めていかなければなりません。ところが、肝心の総会資料が日本語オンリーでは互いの距離が近づくはずもありません。
都市部の団地などでは、増加する外国人住民に対応するために、たとえばゴミ捨てのルールなどを英語や中国語はもちろん、スペイン語やポルトガル語に訳して掲示することで、トラブルが減少している事例も報告されています。
ところが高級なタワマンになるほど、住民のプライドが邪魔をするのでしょうか、そうした生活習慣でさえ理解できない外国人を忌み嫌い、外国人は日本語をよく勉強せよ、そうでなければ出て行ってくれないか程度に考えている人が多いと聞きます。
私の知人が経営する建物管理会社では、外国人雇用を進めていて、外国人住民とのコミュニケーションが円滑に行なわれた結果、生活上のトラブルも少なくなっているそうです。最近では、AIなどの技術を駆使した翻訳ソフトも多く登場しています。すこし時間をかけてでも、互いの意思疎通を図っていくことが大切です。