マンション管理費について、日本人と認識が違う
マンションの管理費についても、認識の違いはあります。中国人に限った話ではありませんが、よく認識で齟齬が発生するのが、所有者が非居住の投資家の場合です。彼らは日本に常時滞在しているわけではなく、日本にはよく旅行でやってきています。中国人にとって、日本旅行はほぼ国内旅行に近い感覚があります。いつもホテルを使うのはもったいないので、マンションを買って、日本に来た時にはホテル代わりに使うのです。また、息子や娘が日本に留学した時のための滞在用にとりあえず買っておく、という人も多いと聞きます。
この場合は、自分の部屋を管理してくれる管理業者が日本に存在し、部屋の管理をしてくれます。管理といっても、郵便受けをチェックする、部屋内の掃除をする、通気通水をする程度のものです。
私も仕事で一度、白金高輪で香港人投資家が所有するタワマンの部屋に案内してもらったことがありますが、日本での管理人と思われる方が、なかを案内してくれました。驚いたのが、オーナーはマンションを購入して以降4年が経つが、まだ一度も日本には来ていないと言っていました。広い寝室には大きなダブルベッドが置いてあり、その上にはブランドものと思われるバッグが放置されています。おそらく4年間、同じ場所にそのままにされているのでしょう。
投資家は当然、現地業者には管理費と称する報酬を支払っています。それなのに、マンション管理費を請求するので、アタマに来るのです。
「ノー。私はすでに管理人を雇っていて、管理費はそいつに払っている。なのに、なぜ別に管理費を払わなければならないのか」
となるのです。
もちろん、管理の内容が異なります。現地管理業者はあくまでもオーナーの部屋を管理しているだけ。マンション管理人はマンション内でのゴミ出し、日々のクレームや問い合わせへの対応、共用部の清掃、警備などを司っているわけですが、彼らから見れば、ゴミ出しなんてゴミ業者がやればよいし、清掃、警備、設備管理は全部プロがいるはず。何で中途半端な知識しかないおじさんが管理人と称しているのか、という程度にしか思っていないのです。
このように、国によって建物管理に対する感覚はかなり異なります。むろん、日本にあっては日本のルールを守っていただかなければ、トラブルの元となります。また相手が知らないことに対して、日本人オーナーや住民が憤りを覚えるのは仕方がない側面もあります。ただ、繰り返しですが、各国人の生活スタイル、価値観は当然異なり、日本の考え方を理解しようにも、言語の壁などでうまくいかないことを、われわれ日本人も理解する必要があるのではないでしょうか。
管理組合における契約や規約の多言語化は必須ですし、管理組合総会における資料の多言語化や通訳の設置など、今後はこうした対応の有無によって、資産価値も変わってくる時代です。外国人を排除した日本人だけの閉ざされた生活空間を作ろうとするのも1つの考え方ですが、まずは互いの溝を埋めるためにできることから始めてみることが肝要なのです。