スポーツの熱狂は、人々の日常を少しだけ狂わせる。サッカーワールドカップ日本代表の大一番・スウェーデン戦があった金曜の朝、渋谷は異様な熱気に包まれていた。

 今回は、熱狂の渋谷にあるスポーツバーへ夜勤明けで駆けつけたという、筋金入りのサポーターを紹介する。

 

“ドーハ世代”が恐れる「前評判の高さ」

「川口(能活)とかが着てた時のやつですね」と、往年の名キーパーのレトロなユニフォームを纏う男性は笑う。

ADVERTISEMENT

 強豪相手に押し込まれる展開が続いた試合は、1-1の引き分けに。「負ける時はコロッと負けてしまうんで、1-1で終われたのはよかった」と、彼は冷静に結果を受け止めていた。本音を言えばフランス代表の怪物・エムバペとの対戦も見てみたかったと語るが、次戦の相手はブラジルだ。

「日本代表を応援し始めたのはドーハ(の悲劇)の時からですね。97年のジョホールバルとかもテレビで見ていましたよ」という言葉通り、彼の眼差しからは年季が感じられる。長年の歴史を知るからこそ、現在の代表チームを「最強だと思います」と手放しで称賛する。

 だが、ファン心理は複雑だ。「ただ、前評判が高かっただけに、2006年とか2014年みたいにコケるかなってすごく心配してたんですよ」と、過去のトラウマも明かした。

 次なる大一番の展望については極めてシビアだ。

「ブラジルのワンサイドで、守備からのカウンターになるのかな」と分析し、「勝てなくても、PKには持ち込んでほしい」と、泥臭く食らいつく展開を祈っていた。

 それにしても、平日の朝から熱狂の渋谷へやってくるとは、仕事はどうしているのか。尋ねると「あ、夜勤明けです」とこぼす。極限まで疲弊した身体を引きずりながら、それでも歴史的瞬間を見届けるために足を運んでしまうのだ。

「めちゃくちゃ疲れてます。もう家に帰って寝ます」

次の記事に続く 「選手が本気なら応援も本気で」平日朝6時半から渋谷に降り立った“侍”サポーターの“異常なサッカー愛”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。