2026年サッカーW杯。開幕前、日本代表の前評判はこれまでにないほど高まっていた。厳しいヨーロッパの強豪を相手に善戦を重ねており、一部に怪我人を抱えながらも「歴代最強」の呼び声高く、列島中が大きな期待を寄せていた。

 そして迎えた本大会。0-1から1-1、1-2から2-2、オランダ相手に劣勢を2度も追いつく初戦の劇的な展開に世間的な評価はうなぎ登りとなり、熱狂の波が日本中を席巻した。

オランダ戦で値千金の同点弾を決める中村敬斗選手 ©JMPA

 続く第2節、チュニジア戦後は日曜日ということもあって、まだグループリーグ突破が確定していない状況にもかかわらず、渋谷のスクランブル交差点にはおびただしい数のサポーターが集結し、どんちゃん騒ぎを繰り広げた。

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W杯の舞台で自身のセレブレーションを披露する上田綺世選手 ©JMPA

 そして迎えた第3戦、スウェーデン戦当日。前日夜には共同通信社が「5点差の黒星でも突破する」と報道したように、今大会から導入された3位通過の恩恵で、余程のことがない限りグループリーグ突破は濃厚な状態、である。

 それでもファンは貪欲に勝利を期待し、街からはヒリヒリとした熱気すら感じられた。純粋な勝利を希求する気持ち、次戦で少しでも与しやすい対戦相手を期待する気持ち。人によって理由はさまざまだろうが、早朝から渋谷に集うなかに「どうせ突破するから負けでもいいか」などと甘い考えを持つ者は皆無だった。

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試合当日、早朝6時の渋谷

 試合当日の朝6時、渋谷。次第に街に人が集まり始める。駅構内を見渡せば、日本代表の青いユニフォームを着用した熱狂的なファンもちらほらと見受けられた。

朝6時すぎから日本代表のユニフォームに袖を通した人々が渋谷に向かう

 しかし、スクランブル交差点にまだ人はまばらだ。警視庁の規制も、無法地帯と化すハロウィーンやカウントダウンに比べれば準備開始が遅く、物々しさもない。

6時台のスクランブル交差点。機動隊車両も見当たらない落ち着いた光景

 信号待ちの間、テレアポの仕事に向かう途中だというスーツ姿の男性に話を聞いた。

「始業は10時からなんですけど、試合が終わる頃には道がとんでもないことになりそうじゃないですか。遅刻は絶対に許されないので、早めに出社することにしたんです。まだ人は少ないですね。よかったです。あ、私はバイトを管理する立場なんですけど、今日は希望休を出す学生バイトが多いですよ。もしかしたら仕事は休むと嘘をつきつつ、渋谷には来ているかもしれないですね」

 男性の愚痴めいた推測の真偽はともかく、早朝の渋谷で青いユニフォームに身を包む人々の多くは、エネルギーを持て余した若者たちが多かった。

決勝トーナメントではブラジルとの対戦を希望。最終的には「一番上」までいけると語る男性たち

 父親から譲り受けたというユニフォームを着用する男性は「テレビでも見てきたスクランブル交差点の狂騒を体験してみたい」と目を輝かせる。