「時間がクソなので…」の張り紙
センター街の奥にあるスタンディングバーの前を通りかかると、こんな身も蓋もない張り紙が掲げられていた。
『放映時間がクソなので、働けるスタッフがいません。なので、みんなで応援する為にお店を開放します。ただ、上記の通りスタッフがいないのと、僕らも観たいので、接客業務はしません』(原文ママ)
その近く、ビル前のスペースで屋台スタイルの営業を行う店舗は、屋外に大型テレビを設置して試合を上映。普段からスポーツ放映をしているパブはもちろん早朝営業を実施しており、道行く人々が次々と吸い込まれるように店内へと入っていく。試合開始前の時点ですでに「満席」の張り紙を掲げる店舗も少なくなかった。
また、渋谷を代表する大型クラブ「ATOM SHIBUYA」でもパブリックビューイングが開かれており、入り口ではスタッフが拡声器を使って「やってま~す! W杯いかがですか~!」と声を張り上げている。
あちらを見ても、こちらを見ても、渋谷は完全に日本代表一色に染まっていた。
そして、運命のキックオフ。
街を周りながら小腹を満たそうと道玄坂上のコンビニに立ち寄ると、客がほとんどいない。ついレジのスタッフに「少ないですね」と声をかけると「しゃーないですよね」と苦笑いしていた。
実際、朝早いとはいえ、平時よりも明らかに人流が少ない異常事態。そんな渋谷を歩く数少ない人々も、スマホを横向きにして画面を食い入るように見つめながら歩いている。W杯、すさまじい国民的注目度である。
そう感心していると、すれ違ったギャル風の若い女性2人組は「今日人少なくね?」「あ、サッカー? 何時からやってんの?」と全く興味のなさそうな会話を交わしていた。渋谷の懐の深さを垣間見た気がした。




