「まったく先が見えなかったわけです」 

「兄より先に結婚したことが、批判の対象になったりしたが、当時、兄のほうは、まったく先が見えなかったわけです。従ってそのことについては、なんの問題も、宮内庁から困ると言う話もなかった。家族の中でももちろん問題にはならなかった」

「私は知り合った直後に家内を両親に紹介し、両親は付き合っていることは知っていましたし、結婚するんだろうなということもおそらく分かっていたと思います。また、結婚する相手が彼女だったらいいな、というふうに思っていたと思います」(拙著『秋篠宮さま』より)

 このように、上皇ご夫妻は交際を始めたころから2人を常に温かく見守り、結婚を後押ししていたようだ。

1989年9月12日、記者会見を終えた礼宮さまと川嶋紀子さん(当時) ©JMPA

紀子さまとの思い出を語った故川嶋名誉教授

「彼女との思い出に心をめぐらしますと、カナダのケベック市北方に広がる山岳公園を流れるシクチミ川で、5歳の紀子と二人して魚釣りをした光景が鮮やかによみがえってまいります。寂寞(せきばく)たる針葉樹林に囲まれた川面にカヌーボートを浮かべ、木の枝の先に結んだ釣り糸を水の中に投げ入れる。エサに食らいついた魚の激しい動きで、木の枝がブルブルと震える。この釣りに対する初めての驚きと感動を、そのとき娘は目を輝かせて、英語で私に語ってくれました」

「紀子は、かけがえのない思い出を私にプレゼントしてくれました。私は紀子に対して感謝の気持ちでいっぱいです」(1990年6月29日の「毎日新聞」夕刊に掲載)

 これは、紀子さまの結婚を前に、故川嶋名誉教授が娘との思い出などを筆者に語ってくれたものだ。

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1989年8月、婚約報道後、初めて報道陣の取材に応じる川嶋辰彦さんと紀子さん(当時) ©時事通信社

幼い頃から大切にしていた犬のぬいぐるみ

 紀子さまが数種類のぬいぐるみを持って皇室に嫁いだことは、あまり知られていないかもしれない。一番、好きだったのは犬の「ドギー」。体長25センチほどのぬいぐるみで、紀子さまが1歳の頃、父親がアメリカの大学に留学するのに伴い、家族で渡米した際、知人から贈られたものだった。

 薄いエビ茶色で、長い耳とシッポが特徴的な「ドギー」を、紀子さまは外出する時も、肌身離さず持ち歩き、寝る時も一緒だった。トイレやお風呂にも一緒に入り、お風呂に沈めて遊んでいたという。

幼い頃の紀子さま 宮内庁提供

 筆者が母親の和代さんに、幼い頃の紀子さまについて取材すると、このように明かしてくれた。