大学が持つサッカー界への影響力

 韓国大手紙幹部は「洪明甫氏は高麗大学出身。大韓サッカー協会の鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長も高麗大学だ。洪氏の監督就任当時、鄭氏の強い意向が働いたという噂が根強く流れていた」と語る。

 高麗大学のサッカー部は強豪で有名で、過去に洪氏やサンフレッチェ広島などで活躍したミッドフィルダーの盧廷潤(ノ・ジョンユン)、複数のワールドカップ大会で活躍したストライカーの朴主永(パク・チュヨン)など名選手を輩出してきた。自然と大韓サッカー協会でも一時、高麗大出身者の発言力が強くなる傾向があったという。

 韓国では「学縁(ハギョン)」という言葉がある。卒業した高校や大学を重視し、同窓であれば、優先的に処遇する社会文化だ。

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 しかし、洪明甫監督を巡っては「Kリーグの蔚山現代で連覇を果たしたものの、代表監督としての戦術の引き出しには疑問の声があった」「今回のW杯でも戦術が平凡で、相手に見抜かれた」「代表チームの大黒柱の孫興民(ソン・フンミン)を第3戦で先発から外した」などの批判も上がっている。

 ただ、Kリーガーを親族に持つソウル市民は「第1戦、第2戦での孫興民のパフォーマンスは明らかに落ちていた。結果論で洪を批判しているだけで、勝利すればこれほど非難を浴びることはなかった」と語る。

韓国サッカー界のGOATとして知られる孫興民 ©時事通信社

 前出の韓国大手紙幹部も「高麗大学の韓国サッカー界への影響力は、最近は強くはない」とも語る。主に、ユース出身者がプロ入りする日本と異なり、韓国では現在も「学院チュック(学校でのサッカーチーム)」からプロ入りする選手が相当数いる。日本と異なり、古くからサッカーが盛んだった時代の名残だが、逆に言えば、最近は「ユース・チュック」で育つ選手も多い。洪監督も「韓国サッカー界の至宝」と呼ばれ、監督就任時にその手腕を疑問視する声が目立って多かったわけではない。