——観た人が映画を完成させる、ということは、ク・ギョファンさんはウノという役を演じながら、余白を残していた部分があるんですね。
はい。キム・ドヨン監督ともども、この映画では余白をあえて残していました。観客の皆さんにそこを埋めてほしい、という思いがあったんです。
俳優出身のキム・ドヨン監督の特別なやり方
——出演の決め手の1つがキム・ドヨン監督とおっしゃっていましたが、キム・ドヨン監督の特別なところというのは、ク・ギョファンさんから見てどのような部分ですか?
キム・ドヨン監督は立派な監督であり、同時に本当に良い俳優でもあるんです。ですから、素晴らしい俳優による素晴らしい演出、というものを受けてみたいという気持ちがありました。演技経験のある監督が、どのようにシーンをディレクションするんだろうっていうことがすごく気になっていたんですね。実際の現場でのキム・ドヨン監督は、私をカメラのフレームの中で本当に自由にさせてくださいました。
——キム・ドヨン監督は俳優出身だったんですね。不勉強で知りませんでした。
確か、俳優として釜山映画評論家協会の新人賞も取ったことがあると思いますよ。(と言って自らのスマホで一所懸命に調べて、画面を見せる)ほら、これです。2009年に『ある個人的な日』(原題/日本未公開)で第10回釜山映画評論家協会賞で新人女優賞、と書いてあります。実はキム・ドヨン監督はちょっと前に、僕が監督した映画にも出演してくれたんですよ(『あなたの国』原題/韓国で今年公開予定)。
——俳優であり監督という点では、ク・ギョファンさんと同じですね。
そうですね。その意味では同僚でもあります。
——演技経験のある監督と、そうでない監督とでは、演出の仕方に違いがあるのでしょうか?
違いがあるわけではないんです。演技をしたことがなくても、素敵な演出をする監督さんもたくさんいらっしゃいますから。ただ、キム・ドヨン監督の特別なやり方というのは、俳優の気持ち、心からスタートして、ディレクションをするというところです。監督というのはその場でモニターで僕らの演技を観ていますから、俳優にとっては最初の観客でもあるわけです。そこで僕たちが泣くシーンでは、監督が誰よりもほんとに大きく一緒に泣いてくださいました。それから私たちが笑うシーンでは、誰よりも本当に大きく笑って一緒に喜んでくれるんですよ。

