マングース根絶後の「心残り」は?

 T字型筒罠は、マングースを捕殺する一方、他の動物を極力混獲しないためにバスターズが改良を重ねた罠だ。マングースの他に、より小さな在来ネズミ類もエサに到達するが、筒の長さを変え、仕掛けの感度を調節し、ネズミ類が捕殺されにくい構造に改造した。以前に使っていた生け捕り式の「かご罠」は、混獲された動物は逃がせばよかったが、毎日点検しなくてはならなかった。

T字型筒罠(写真提供:阿部愼太郎)

 そして18年に最後のマングースが捕獲され、24年9月、ついに環境省が奄美大島のマングース根絶を宣言するに至った。奄美大島の面積は約712平方キロメートル。東京都23区よりもひと回り大きい。これだけ広い島でマングースを根絶したのは、世界史上初めてだ。

 根絶宣言の後、バスターズが島中に設置したT字型筒罠を全て回収し、最後の一つは私に片付けさせてくれた。バスターズからのサプライズプレゼントだ。山の中で日々奮戦したのはバスターズだから、事務所で指揮を執っただけの私は照れくさかった。

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 こうして、マングースと私の36年におよぶ対峙が終結し、25年に環境省を定年退職した。

 退職後は現役世代の“目の上のたんこぶ”になりたくないと思うものの、いくつかの心残りがある。

奄美大島で、固有種のアマミノクロウサギをくわえる猫=2008年(環境省提供) ©共同通信社

 一つめは、山で野生化したネコである「ノネコ」が固有種を捕食している問題だ。18年に始まった対策では捕獲後の譲渡のフローが機能しており、来年には島全域でノネコやノラネコの低密度化が達成される見込みだが、集落のノラネコが続出すれば問題は解決しない。ノネコの“永久”根絶は、地域住民のネコとの関わり方に懸かっている。

※この続きでは、マングース根絶後の「心残り」がさらに語られています。全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年5月号に掲載されています(阿部愼太郎「マングース根絶後の気がかり」)。

※この記事は、フリーアナウンサー・山根基世さんによる朗読版があります。

文藝春秋

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マングース根絶後の気がかり

出典元

文藝春秋

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