ターゲットの家に侵入するも、金が見つからない

 翌日の突入前、「キム」から実行役たちに指示が飛ぶ。

「殴ったり蹴ったりしないとおカネあげません」

 1月19日11時30分頃。実行役たちは指示役と通話しながら、被害者宅に突入する。2人が被害女性をすぐに制圧し、目隠しをして結束バンドで拘束した。永田が在宅者の有無を確認しつつ、地下への階段を探す。同時に、永田は野村に金庫のありかを探すように指示した。

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 だが、肝心のカネが一向に見つからない。

「さっさとカネのありかを吐かせろ」

 電話越しに、苛立っている「ミツハシ」の声が聞こえてくる。実行役の中心である永田は、「キム」の指示で野村の様子を見に行った。すると、被害者に「今日はいい天気ですね」と話しかけている野村の姿が目に飛び込んできた。

 激怒した永田は被害女性の顔面を殴り、背中と尻を5~6回蹴った。女性は「ウーッ」と声をあげて俯くが、カネについては話さない。

「カネは絶対にある」

「ミツハシ」の口調が次第に強くなる。恫喝が足りてないと感じた永田は野村に、「バールを持って来い。お前がやれ」と暴行を指示した。野村はバールを思いっきり振りかぶり、7~8回、肩や腹部、背中などを強打する。

イメージです ©PantherMedia/イメージマート

本人か確認すると、「あちゃー、人違いですね」と……

「なんでこんな酷いことするの?」「痛い、助けて」

 被害女性がそう訴えても、実行役たちは止まらない。「ストップというまでやれ」と永田が命じると、野村がまた5~6度暴行を加える。さらには「3、2、1」と数字を数え、ゼロになったタイミングでバールをフルスイング。それを5回行った。

「娘や息子を殺すぞ」

 そう脅しても、女性は痛みを訴えるだけだった。不審に思った永田は写真を撮影して、「キム」に本当にターゲットと合っているかを確認する。すると、こう返答があった。

「あちゃー、人違いですね」

 ここで永田の怒りが爆発する。

「は? そちらの責任ですよね? こっちはやることやってるんですよ!」

 指示役と実行役の間で、そんな押し問答が続く。「ミツハシ」は、「指飛ばしていいからやれよ!」と叫び続けていた。

 突入から撤退までの約1時間44分間、電話は繫いだままであった。実行役たちは、時価にして計約60万円相当の腕時計3点を奪い、逃走した。

 被害女性は多発肋骨骨折など複数の損傷を負い、外傷性ショックにより同日亡くなった。

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