不動産投資の過熱が招いた弊害
また、ギャラップの調査が示すように、韓国で長らく投資の対象と言えば不動産だった。アパート(マンション)の価格が青天井で上がり続けるためだ。市民たちは借金して購入したマンションを抵当に入れて資金を作り、さらにマンションを購入するやり方で資産を増やしていった。
ところが、不動産投資の過熱が様々な弊害をもたらした。マンション価格は上がり続け、ソウル市内のマンションの平均価格は、高級住宅街が広がる江南地区で約3億から4億円、比較的割安とみられていた江北地区でも約1億5000万円程度にまで上昇した。
韓国政府は、文在寅政権当時から様々な規制に乗り出した。個人が一定数以上のマンションを購入できないようにするほか、住宅ローンの融資額にも上限を設けた。この結果、「マンション価格が高すぎて投資の第一歩を踏み出せない。すでにマンションを持つ人々も、規制によって追加購入ができない」(ソウル市民)という状況に陥った。韓国経済紙の幹部は「若い世代は給料と住宅ローンだけでは一生、家を買えないと悟った」とも語る。
「株は人生を大きく逆転させる魔法の杖」
手が出しにくくなった不動産に比べ、株は少額の投資から始められる。韓国メディアによると、韓国で株式投資をする人々のうち、30代が約2割、20代も約1割を占める。20代はレバレッジETFや成長株などを中心に売買し、小額で大きな収益を狙う特徴があるという。ソウルに住む40代男性の勤務先でも、株をやる若い人々が大勢いる。この男性は「特にスマホの影響が大きい」と語る。
若い世代は皆、スマホに証券会社のアプリをダウンロード。登録した口座を通じて売買するため、面倒なやり取りもない。韓国では、株取引指南のユーチューブが乱立。通勤時間帯ともなれば、バスや地下鉄の車内でユーチューブを一心不乱に見つめたり、スマホで株取引をしたりする若いサラリーマンの姿をあちこちで見かける。株取引が始まる午前9時には、トイレにこもって株取引に熱中する社員もいるという。
韓国では「アッパチャンス(父親が富裕層でなければ、良い暮らしはできないという意味)」「金のさじ、泥のさじ」という言葉が流行るほど、社会格差が広がっている。中流以下の家庭で育った人々は今や「家も買えず、恋愛も結婚もできず、子供も持てない」という状態に置かれている。そんななか、「株は人生を大きく逆転させる魔法の杖」になるのだ。
