クマは鼻先で戸をこじ開けようと…
「警察官は、『佐藤さんのことは絶対に守りますから、奥のほうに隠れていてください!』と声をかけてくれた。でもクマは、ガラス戸越しに立ち膝になっている警察官の脚の辺りをクンクンと嗅いで、鼻先で戸をこじ開けようとする。そのうち、同僚のパトカーがやってきて、警察官はクマが裏に戻った隙にパトカーまでダッシュ。トランクから防具を取り出し、また戻ってきた。『これを着ければ大丈夫ですから』と肩まであるヘルメットを手渡されました」(同前)
最初の通報から1時間以上が経った午前9時過ぎ、猟友会のハンター2名が到着。5分ほど家屋の周囲でクマを探すが見当たらない。
「いないなあ」
こうハンターたちが顔を見合わせた瞬間、鶏舎からボンッと黒い塊が飛び出し、林に向かって走り出した。
パァーンッ。
散弾銃が腹部に命中しクマは絶命した。鶏舎の網にはいくつも穴が開いており、鶏9羽が食べられていた。
地元猟友会関係者が語る。
「駆除したクマを解剖すると、胃は鶏の飼料が入ってパンパンだった」
「一番怖いのはクマが持つ細菌」
野生動物の被害把握業務などを展開する株式会社うぃるこ代表でクマの生態に詳しい山本麻希氏がその食性について語る。
「クマの餌は木の実などが主で、広い雑食ですが、肉を好まないわけではない。鶏舎の網を破って鶏を食べる被害は以前から多い。鶏舎の周りに飼料が落ちていたりすると、味を占めることがある。また家庭ゴミの匂いに引き寄せられたクマがゴミを漁ることもあります」
秋田市から約120キロ北上した鹿角市。昨年10月2日午前9時半過ぎ、同市市議の宮野和秀さん(76)はクマと遭遇し、揉み合いとなった。現場は十和田大湯の住宅街にある自宅から車で3分程の山中に入った畑だった。宮野さんが語る。
「休日に孫娘が栗拾いをできるように、下に落ちた栗の様子を見ていたんだよ。そしたら30メートル先の草むらに親グマと2頭の子グマがいたんだ」
宮野さんが大声で威嚇すると、親グマは猛然と突進してきた。宮野さんは手に、栗の入ったプラスチックの赤いバケツを携えていた。
「目の前に来たクマが立ち上がる前に、横からバケツで鼻先をバンと殴ったんだ。その後に腹を何度か蹴ったがフニャフニャしていて手応えがなかった」(同前)
すると親グマが立ち上がった。「逃げればやられる」と思った宮野さんはクマの喉元に入り込んで無我夢中で殴ったが、そのまま覆いかぶさるように倒された。クマの背丈は160センチ以上あるように思えた。
