先天性の難病「顔面動静脈奇形」を抱え、40回以上の手術を経てきた河除静香さん(51)。鼻と上唇が変形し、幼少期から壮絶ないじめを受けてきた彼女は今、その体験を芝居にして地元・富山県を中心に上演している。インタビューの場に現れた河除さんは、つい先月も東京の病院で治療を受けていたばかりだった。

河除静香さん(51) 写真=細田忠/文藝春秋

「ゴックンゴックン飲んじゃうぐらい血が出た」

 河除さんが語る病状は、想像を絶するものだ。先月、8年ぶりに大きな出血が起きた。「12時間くらいなかなか血が止まらんくて。止まったすきにご飯とか水分を摂ろうと思ったらまた出血」と河除さんは振り返る。出血点は鼻の硬い骨の下あたりと予想されているが、現在鼻がほとんど潰れた状態のためファイバーも入らず、正確な場所すら特定できていない。

 8年前の出血では、目や耳からも血が出るほどの命に関わる事態に陥り、軟骨ごと病巣を摘出した結果、鼻がぺっちゃんこになってしまったという。そして今年の夏、いよいよ「鼻を作る手術」に踏み切る決断をした。

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「おでこに風船を入れて少しずつ膨らませて、鼻にできるだけの皮膚ができたら、それをグルッと下に回して鼻にする」という造鼻術だ。皮膚を伸ばすだけで3、4か月を要する大がかりな手術で、気管切開の可能性もあると告げられている。「そうなると声がちゃんと出るのか不安ですね」と河除さんは静かに話す。中学校に勤める彼女は、夏休みを利用してこの手術に臨む予定だ。

 幼少期も、病気は河除さんの日常に深く刻まれていた。保育園の頃から「アヒルのガーコ」と呼ばれ、「気持ち悪い」「ばい菌」と言われ、叩かれたり蹴られたりした。「今でも『気持ち悪っ』って声が聞こえると、私のことじゃないかとドキッとするんです」という言葉には、長年にわたる傷の深さが滲む。

 それでも河除さんは、舞台に立つことを諦めていない。一昨年から社会人劇団に入り、定期公演への出演を目指している。手術の時期と重なるため今年は参加できないが、「また来年挑戦します!」と前向きに力強く語っていた。

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