「弱視の子どもたちは運動をさせてもらえない」という問題

――なぜ運動教室を始められたのでしょうか。

松本 視力が少しでも残っている場合、親の意向で視覚支援学校ではなく、通常学級の学校に行くことがあります。もちろん、その選択は自由です。しかし学校側が、弱視の子どもたちに体育を見学させるよう指示する場合があるようです。

 その問題を解決したいんですよね。実際、教室に来ていた小学校4年生のお子さんが「初めて運動をした」と言っていました。それを聞いて、その子の親御さんが泣いているのを見たことがあります。「もっと早く運動をさせてあげたらよかった」と言っておられました。その子は最初は走り方もまったく慣れていませんでした。これまで運動をしたことがないのだから、当たり前ですよね。けれども、教えてあげればきちんと走ることができます。

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障害のある子どもをサポートし運動できる環境を提供する

 障害のある人にとって危険になり得ることを排除することは大切です。でも、安全性を優先させることと、運動をまったくさせないのは別の問題だと思います。危険そのものではなく運動を排除することは、管理する側の都合でしかありません。本当は周囲のサポートさえあれば運動ができる子なのに、学校側がそれをサポート出来ないとすれば、その子の健康も害してしまっていることにもなります。

サッカーだけではなく、さまざまな運動を取り入れたい

――これから運動教室をどう展開していきたいですか。

松本 教室は全て無料で開催していて、理解を示してくれる自治体などとともに広げていけたらいいと思っています。

 視覚障害のある子どものなかにも、さまざまな関心や目的があると思っています。運動に触れて楽しく遊びたい子どもと、競技で勝つことや、上達を目指したい子どもは、それぞれ異なる対応をするべきだと考えています。どちらの子どもも満足できるような内容にしていけたらという思いがあります。

――ご自身のバックグランドはサッカーですが、運動教室にしたのはなぜでしょう。

松本 まったくサッカー経験のない視覚障害のある子どもが、これからサッカーを始めること自体は可能です。けれども、プロになれるかというと、陸上など他の種目のほうが可能性があります。なのでサッカーだけではなく、さまざまな運動を取り入れたいと考えたんですよね。なかでも陸上の場合は、早く走ることを突き詰めるうえで、視覚障害が他のスポーツほどのハンディキャップにはならないのではないかと。

教室では子供の笑顔がはじける

――今後、松本選手が運動教室で叶えたい夢はありますか。

松本 努力の仕方によっては、ロービジョンのランナーが健常者のランナーに勝てることもあり得ると本気で考えています。私自身、そういう場面に立ち会いたいです。

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