高市早苗内閣の発信戦略の新機軸として注目を集めているX(旧Twitter)のアカウント「内閣広報官(色々投稿試し中)」が世間の注目を集めている。このアカウントの行動を読み解くうえで参考になるのが、トランプ政権のSNS戦略だ。『ドキュメント戦争広告代理店』などの著書で知られる高木徹氏が解説する。
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3人の個性的なPRプロフェッショナル
トランプ大統領というと、その政策も人柄も無軌道なトラブルメーカーという印象で語られることが多いが、PR情報戦の面からは1期目と異なり、洗練された戦略をとっている。SNS戦略も多様な発信源が役割を分担し、それらが有機的に相互作用して、メッセージの輪を広げるシステムができあがっている。
その輪の中心にいるのがトランプ大統領自身だ。2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したとして、Twitter(現X)から追放されたことから、Truth Socialという自前のSNSプラットフォームを作り、1日10件以上ものテキストや画像を発信している。自らをキリストになぞらえるような常軌を逸した画像や、記者や政治家などの気に入らない発言に対する下品な「罵倒」も多い一方、重要政策を最初にここで発表することが多いため、世界中が目を離せない状態だ。
SNSだけでなく、トランプ大統領は、対面での記者対応の発信量もずば抜けて多い。記者会見はもちろん、大統領執務室でのイベント、専用機の機内、海外の首脳との会談時など、ほぼ毎日記者の質問に答えている。さらにはお気に入りのFOXニュースを始め、さまざまなメディアの単独インタビューに答えることも多い。それだけでなく、総合格闘技などスポーツイベントに登場し、マクドナルドのハンバーガーをデリバリーで注文して受け取って見せ、エルビス・プレスリーの邸宅を訪ねる、など「絵になる場面」を精力的に創出している。これらすべてが「ネタ」となり、ホワイトハウスの各種SNS発信を通じて情報の拡大再生産が行われるのだ。
拡散の実行部隊の中核が、ホワイトハウスでトランプ大統領の執務室と同じ棟である「ウエストウイング」にオフィスを持つことを許されている3人の個性的なPRプロフェッショナルだ。
広報部長の椅子に座るのが、中国系アメリカ人のスティーブン・チャン氏だ。総合格闘技団体UFCの広報担当から転身し、その姿も自らが格闘家であるような巨体と強面で、「ホワイトハウスの広報にケージ(総合格闘技の金網の檻)を持ち込んだ」と言われる武闘派だ。


