そして、抜擢されたデジタルネイティブの幹部が、2人の女性、30歳のマーゴ・マーティン大統領特別補佐官兼広報顧問と28歳のキャロライン・レビット報道官だ。
3人に共通するのは、いずれも非白人または女性という、いわばマイノリティの出身で、さらには無名校出身や大学中退のたたき上げであることだ。トランプ大統領のPR戦略の基幹的メッセージのひとつである「反エリート」を体現している。
ラピッドレスポンスという戦略
その中で、チャン広報部長が得意とするのは、「ラピッドレスポンス(迅速対応)」という情報戦の重要な戦略だ。メディアやSNSの中で、敵対的なメッセージには反論し、ポジティブな情報や画像・動画は拡散する「レスポンス」を「迅速」に行う。情報空間に有力な政権批判が出現した場合、それが拡散する前に打ち消す努力をしないと手遅れになる。逆に自陣営の人物(例えばトランプ大統領)がメディアに露出するなど都合の良い機会を瞬時に捉えて拡散することも欠かせない。
これをX上で実践しているのがチャン広報部長の元で運営しているその名も「Rapid Response47」(現在のトランプ氏は第47代大統領)というアカウントだ。
※この続きでは、トランプ政権と高市政権のSNS戦略に共通する「ラピッドレスポンス」について掘り下げています。約8200字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年8月号に掲載されています(高木徹「高市官邸『SNS戦略』徹底解剖」)。
■高木徹(たかぎ・とおる) 元NHKプロデューサー。立教大学大学院社会デザイン研究科客員教授。著書に『戦争広告代理店』(新潮ドキュメント賞・講談社ノンフィクション賞)、『大仏破壊』(大宅賞)

