また、交差点のエリアも非常に広く、車線も多い。どの信号を目当てに、どの車線を走ればいいのか、視覚的にわかりづらい。対向車や歩行者の姿も見えづらい(ただ、対策が奏功したのか、二〇二三年からは事故は激減している)。

首都高速の高架下に入り…

 飯塚は青信号の交差点を難なく直進すると、ドン・キホーテ北池袋店の「驚安の殿堂」という看板が左側の視界に入る。池袋に近づいてきた。妻が趣味のコーラスや知人について一方的にしゃべり、夫が「うん、うん」とひたすら相槌を打つ。池袋警察署川越通交番の防犯カメラが飯塚夫妻の車を記録したのは、午後〇時二〇分。このあたりから首都高速の高架下に入り、道路はぐっと暗くなる。しばらくして、二車線の巨大なバイパス「池袋六ツ又陸橋」に入る。

 首都高速五号池袋線が完全に上に重なるため、車内の陰りはずっと濃くなる。

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 この陸橋は、池袋駅から北に延びるJR埼京線、次いでJR山手線と立体交差している。高さ二一〇メートルの煙突がある豊島清掃工場やビル群の間を走行する。飯塚は春日通りに繫る分岐点を直進して池袋方面に向かうが、またウィンカーを出さずに左に車線変更した。それ以外は法定速度を少し超えることもあるが、基本的に安全運転だ。

 その後は、「魔の交差点」として有名な「池袋六ツ又交差点」(二〇二四年、人身事故件数全国一位)の上を通過して陸橋の終点に着く。ここからは下り坂だ。飯塚は車が加速しないよう、ブレーキを断続的に踏む。

「日出通り」(都道四三五号音羽池袋線)に入ると道は三車線になる。中央の車線を走行していると、「サンシャイン60通り交差点」が見えた。

 赤信号のため、ブレーキを踏む。用心深い飯塚は、ギアをドライブからパーキングに変え、ブレーキに左足を置いた。右手には人で賑わう東急ハンズ池袋店(当時)が見える。信号が青になった。ブレーキを踏みながら、ギアをパーキングからドライブに切り替える。前の車両の動きを見届け、急発進しないようにゆっくりアクセルを踏む。道路は三車線から四車線とさらに広くなり、飯塚は左から二車線目を選ぶ。