みんなに求められるものは、体しかないと思っていた

 それでも、マリリンにがっくりした様子はなかったという。

 キャロル夫妻にはマリリンが理解しきれなかった。マリリンは誰よりも愛情を欲していた。しかし、愛された記憶が乏しかった。

 自らがみんなに求められるものは、体しかないと思っていた。愛し方には1つしかないと思っていた。もっと多くの優しさや愛情があることを知らない。迷子の子猫のように、母親の愛情を知らずに育ってしまったのだ。

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マリリンが最初に関係を持った大物映画関係者

 ちょうど、そんなときだった。映画界の大物が集まるパーティーにマリリンも参加した。パーティーを彩る華として呼ばれた。そして、マリリンはこのパーティーでジョセフ・スケンクと出会う。

 ジョセフ・スケンクは弟のニコラスと一緒にMGMの重役と仕事をするようになった後、プロデューサーになった。そして、いくつかの映画関連の重役や社長を歴任し、最後は20世紀フォックスの理事長になった。映画界の大物だ。パーティーでマリリンを見つけたスケンクは、彼女を夕食に誘う。

 マリリンはルシールから、スケンクからベッドに誘われたときの忠告を受けていた。

「私はヴァージンで、ふさわしい男性が現れるまで守っていたい、と言いなさい」

 しかし、そんな噓はすぐばれた。スケンクはマリリンの過去をすべて調べていた。そして、マリリンが大物映画関係者と関係を持つ最初の人間となった。

マリリン・モンロー ©文藝春秋

ブロンドのマリリン・モンロー誕生

 スケンクにとってマリリンは、ただの情事の相手ではなかった。マリリンに仕事を紹介し、長く付き合うことになる。スケンクは、自らが理事長を務めた20世紀フォックスは無理だったが、ポーカー仲間のコロンビア映画の社長に声をかけ、彼女を雇ってもらうよう頼んだ。

 マリリンはコロンピアと契約を結ぶ。そのとき、思いがけないことが起きた。マリリンは額の生え際をきれいに剃られ、髪の毛はオキシフルとアンモニアで完全に脱色された。マリリンの髪は輝かしいブロンドに変わった。

 私たちの知っているマリリン・モンローの登場だった。

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