100歳を超えた長寿の人=「百寿者」を通して見える、老後を幸せに暮らすための心のありようとは? 百寿者研究で知られる広瀬信義氏の調査の過程でわかってきたのは、「人は80歳を過ぎると、『老年的超越』に向かって幸せ感を高めていく」ことだという――。(構成・中村徹)
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105歳の男性の「印象的なコメント」
「老年的超越」とは、スウェーデンの社会学者、ラルス・トルンスタム教授が1989年に提唱した概念です。
つまり、人は年を取ると、それまでの人生における「物質主義的で合理的な価値観」を越え、おカネや地位などへの執着が薄らぎ、自己中心的な考え方が薄まり、見栄もなくなり、自分の存在が過去から未来へと至る大きな流れの一部にすぎないと感じるようになるというのです。
年を取れば、身体の衰えによって昔はできたことができなくなったり、いろいろな不都合や制約が生じます。が、それを不満に思うことなくあるがままに受けとめ、小さなことにも幸せを見出すことができるようになる。つまり、年を取れば取るほど幸福になれる。
私たちの調査でも、たとえば超百寿者(105歳以上)の男性に、こう語る人がいました。
「若い頃の自分が大切だと思っていたことにこだわらなくなる。ひとりぼっちのように見えても、地球と繋がっているというかんじがする」
別の百寿者は、「年を取るということは、若い頃考えていたより幸せですか」という質問に対し、こう答えています。
「年を取ることは自然の現象だ。変えることはできないのだから、そんなことを考えるのはアホや」
あるがままに受けとめる、という姿勢です。そしてこの人は「いままでに幸せだなと感じたことはありましたか」という質問に、
「よう覚えていない。(でも)悲しいことや辛いことの記憶がないから、楽しいことや嬉しいことばかりやったと思う」
と応じています。その姿勢が「幸せ感」にも繋がっている。
