その後斎藤被告は、A子さんをベッドに横にして睡眠薬の効果が現れるのを待った。
「1時間ほど放置しました。その間、家の中でロープの代わりになるものを探しました。トレンチコートのベルトを見つけたのです。ベルトを輪にして、ドアノブにぶら下げました。首をつったように見せかけるためです。1時間後、A子さんの名前を呼んだり、揺らしたり、叩いたりして意識があるかを確認しました。しかし、目を覚ますことはありませんでした。そこから、また30分そのままにしました」
「30分後、A子さんの意識はなく寝ていました。手で絞めて殺害するのは難しい。A子さんをぶら下げて殺したほうがいいと思いました。A子さんを椅子に座らせて、廊下に運びました。そしてベルトの輪に首をくくりつけました。そのとき、A子さんは『うっ…』と言ったのですが、目を覚ますことはありませんでした。体の向かいに遺書をテープで貼り付けました」
この段階で、斎藤被告は一度、部屋の外へ出た。ここまで冷静に行動をしていた斎藤被告だが、A子さんの死を前に緊張が襲ってきたという。
「一度、外の空気を吸いたかったのです。初めての経験で緊張していたためです。5~10分くらいの後、部屋に戻りました。A子さんを揺すって名前を呼んだりしましたが、反応はありませんでした。けいれんはしていましたので、そのままにしておけば亡くなるかもしれないと思いました」
しかし斎藤被告はこの時、A子さんの生命よりも終電を気にしていた。
「(部屋に)翌朝までいるという考えもありました。しかし、近親者が尋ねてくるかもしれないと思い、帰宅することにしました」
初めての殺人を終え、そのことよりも終電が気になるというちぐはぐな心境だ。斎藤被告はA子さんを放置して自宅に戻った。
「事件当日に帰宅すると、荷物にA子さんの毛髪がついていました。捨てることもできましたが、なんでだろう…。取っておいたのは、その場の思いつきです」
翌日、現場に戻ると奥に男性が…
自宅にA子さんの毛髪を保存すると、翌日には現場に戻った。
「(亡くなったことを)はっきり確認できていませんでした。ただ、玄関のドアが開いていた。鍵がかかっていなかったのです。部屋に入ると、奥に男性がいました。状況がわかりませんでした。『関係者か?』と思った程度でした。目が合ったので、部屋を出て、帰宅しました。A子さんが亡くなったことを確認できませんでした。確認できなかったことは不安でした。(亡くなっていなかったら)申し訳ないと思いました」
A子さんの自宅を再び訪れたものの、A子さんの状態を確認せずに自宅へ戻った斎藤被告。
A子さんの死亡を確認できなかったことで殺人の実感がなかったためか、「殺人衝動」は治まらなかった。そのため、別の自殺願望者であり、殺人の標的となる人物を探した。
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