まだまだ知られていない台湾映画がある
リム 構図も変わっていますし、色彩も面白いですね。バイ・ジンルイ監督の特徴なのかもしれませんが、原色を大胆に使っています。階段の手すりが赤く塗られていたり、電話ボックスも鮮やかな赤色だったりする。歌の使い方もすごく上手い。絶妙なタイミングで歌が入ってきて、ミュージカルのように物語を牽引していく。観客を退屈させないための工夫が随所に凝らされています。そういえばこの映画の冒頭のクレジットに東京現像所と入っていますね。
筒井 香港映画や台湾映画は、60年代くらいから90年代まで、日本の現像所、録音所を使って仕上げることがありました。フィルムに関する技術が日本のほうが進んでいたんです。日本の技術者が向こうに行って指導したりもしていました。90年代に僕は北京の撮影所に『さらば、わが愛/覇王別姫』の撮影を見に行きましたが、その時も東京現像所の車が来て、撮影したフィルムを受け取っていました。
リム この映画を観て、当時の台湾映画についてもっと知りたくなりました。バイ・ジンルイ監督をきっかけにして、いつか60年代や70年代前半の、日本では知られていない映画を紹介出来たらいいなと思います。バイ・ジンルイ監督の作品も、おそらくいろんなジャンル、スタイルの作品があると思います。
筒井 台湾映画は80年代以降、新しい世界を見せてくれました。一方で伝統的な社会を描くリアリズムも失っていない。近代化されたところと、伝統のバランスを魅力的に見せてくれる。香港映画との世界も近いし、アメリカ映画の影響、日本映画の影響もある。その意味でとても親近性を感じますね。
