元NHKアナウンサーの有働由美子さんが、NHK会長の井上樹彦さんにインタビュー。古巣の経営トップに、“忖度なし”の質問で有働さんが切り込むと…。
◆◆◆
Netflixと見比べてほしい
有働 公共放送であるNHKは、予算や事業計画を審査し承認を得る国会審議がありますよね。今年度の審議は特に問題なかったですか?
井上 極めてスムーズでした。むしろ「頑張れ」という温かい雰囲気を感じました。
有働 以前は国会で「NHKはスリム化しろ」という声が強かったですが、韓国のコンテンツ産業に押されているとか、フェイクニュースにどう対抗するかといった問題があって雰囲気が変わってきましたよね。
井上 そうなんですよ。NHKのスリム化が日本のメディアを縮小・衰退させることになっては大ごとだという危機感を感じました。
有働 井上さんが政治部時代のコネクションで根回ししたからかなと思っておりました。
井上 いや、政治の世界は世代交代が進んで、私が政治部にいた頃の人はほとんどいなくなっています。それに昔のような根回しをすればネットで晒されるだろうから、できないですね。ある意味では日本の政治も正常化しているのかもしれない。
有働 NHKの主な財源は受信料です。地上放送・配信が年1万2276円、そこに衛星放送・配信も付くと年2万1765円になります。動画配信サービスNetflixは広告つきプランが1年あたり1万680円ですが、視聴者はこの先もNHKの受信料を払い続けるでしょうか。
井上 逆に私たちは、Netflixに並んでいるコンテンツとNHKのサービス全体を見比べてほしいです。Netflixは主にストックコンテンツだから、仮に災害が起きても何の速報もありません。一方、NHKは災害時の緊急対応はもちろん、Eテレの教育番組などを含めてコンテンツのジャンルが幅広く、質もNetflixと遜色ない。しかもインターネットサービス「NHK ONE」での番組の同時配信や見逃し配信、防災情報など、すべて込みでの料金です。
有働 NHKは6月から過去の人気ドラマ19作品をNetflixで世界配信するようになりましたが、「NHKは国民の皆さまの受信料で製作したドラマで儲ける気か」といった批判の声があります。

