近い将来、過酷な家賃引き上げに苦しむことに

 こうした事態に直面して政府の動きは鈍い。高市早苗政権は円安の状況について「果断な措置を取る」などと勇ましい発言をするだけ。また実際に円買い介入をしても海外投資家にはその行動を見透かされているかのように一時的に円高になってもやがてこの動きは収束し、むしろ更なる円安状況を招くに至っている。高市首相においては「円安ほくほく」発言に見られるようにどうもこの状況をよく理解できていないとしか思われないような放置ぶりだ。

 近い将来において、都内の優良不動産が外資の手に落ち、日本の多くの企業が、海外投資ファンドが所有するオフィスビルのオーナーから法外な賃料引き上げを要求される。アジア系個人投資家が所有するアパートやマンションに住む日本人庶民が過酷な家賃引き上げに苦しむ事態となることも覚悟しなければならなくなるだろう。日本人は海外に出かけずに自国の安い経済の中でぬくぬくとすることは許されない将来があることにいまだ気づいていない。

もはや日本は先進国ではない

 日本は金利を上げても、円の価値が毀損し続けている深刻な状況にある。これは国際金融マーケットにおいて、円に対する懐疑的な見方が強まっていることを意味している。通貨の弱い国に発展はない。つまりもはや日本は先進国ではない、と世界が見透かし始めているともいえるのである。

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 実際にニューヨークと東京の物価が3倍も異なっていることを為替(たとえば44%の円安)だけで説明することはできず、この暗澹たる事実が裏付けになっているといえる。

写真はイメージ ©IK/イメージマート

 あまり想像したくはないが、これからの日本は、多くの人がアメリカやアジア諸国に出稼ぎに行く国となってしまうかもしれない。

 先日、懇意にしている寿司屋の若い職人が私にこう呟いた。

「友達から聞いたのですが、今、シンガポールで寿司を握ると年収2000万円を軽く超えるんだそうです」

 私のアドバイスは、

「奥さまとまだ小さいお子さんを連れてシンガポールに行ってはだめだよ。物価が高くて年収2000万円でも満足な生活はできないから。行くならひとりで出稼ぎに行くことだね」

 これを聞いたときの彼の小さなため息が今の日本の暗澹たる現状を物語っているのである。