80代の人が老後を心配するという滑稽

お金は人を助けることもあれば、揉めさせることもあります。そもそも「老後資金」というのは、老後に使うために貯めてきたお金のはずです。若いころから「老後に備えて」と言われ、2000万円必要だ、いや4000万円だとあおられ、一生懸命3000万円を準備できた。

「これで安心だ」と思ったはずなのに、いざ老後になると今度はこうなる。「いつまで生きるかわからないから、使えない」

結局、生活の質を落として年金だけで暮らし、老後資金はほとんど手つかず。年に一度くらい旅行に行けそうなのに、「もったいない」とやめてしまう。なかには、年金を使い切れず、資産が少しずつ増え、亡くなるときがいちばんお金を持っていた、なんてケースもあります。

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笑い話みたいですが、現実にある話です。80代の方が真顔でこう言うこともあります。「老後が心配だから、もっと貯めないと」……いまが老後ですよ、とツッコミたくなりますよね。

1990年代に話題になった、100歳を超えて元気だった「きんさんぎんさん」。テレビ出演料の使い道を聞かれて、「老後のために貯金します」と答えたのは有名な話です。高齢になると、ますますお金を使えなくなる。

一番の理想は亡くなるときに「資産ゼロ」

これ、けっこうリアルです。じつは、「自分のお金を自分のために使う」というのは、思っているより難しい。いざ使おうとすると、「これでいいのかな」と迷う。有効に使うってどういうこと? と立ち止まる。それに、通帳の残高が減っていくのはやっぱり怖い。いつまで生きるかわからないのに、数字が減るのを見るのは、なかなかのストレスです。

でも、だからといって生活の質を落としてまで使わないのは、本末転倒ではないでしょうか。これからは、少しマインドチェンジが必要です。「死ぬときに資産ゼロでもいい」むしろ、それを目指すくらいでちょうどいいのかもしれません。

お金を墓場まで持っていくことはできません。だったら、生きている間に「生き金」として使う。自分の生活を豊かにするために使う。経験に使う。健康に使う。人との時間に使う。そのほうが、きっと後悔は少ないはずです。老後不安の9割は、お金が「減ること」への恐怖です。