でも、本当に怖いのは、「使わないまま終わること」かもしれません。せっかく積み上げたお金です。最後は、自分の人生を豊かにするために、ちゃんと使い切りましょう。

節約と引き換えに失った人間関係

内閣府の「経済財政白書」(2024年度)によると、金融資産は60~64歳でピークを迎え、平均1800万円超になるそうです。

「やっぱり退職金が入るから増えるんだな」と思いますよね。でも、もっと興味深いのはその後です。85歳をすぎても1500万円超を保有していて、減少率はわずか15%ほど。……え? ほとんど減っていない。つまり、多くの人が「老後資金」をあまり使っていないということです。せっかく老後のために貯めたお金なのに、です。

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もちろん、慎重になる気持ちはわかります。でも、「使わなかったことで生まれる不幸」もあるんです。いくつか、よくある話をしてみましょう。Cさんは、近所の電気屋さんでエアコンを買いました。取り付けまでお願いして、いざ支払いのときに「ちょっと高すぎるんじゃない?」と値下げ交渉。たしかに、家電量販店と比べれば割高だったのかもしれません。

でも、そのひと言で電気屋さんの機嫌を損ねてしまい、それ以降なんとなく疎遠に。それまでは、電球が切れればすぐ来てくれたし、ちょっとした不具合も気軽に頼めた。顔なじみの安心感があった。数千円、数万円の節約と引き換えに、その関係を失ってしまったとしたら……。どちらが得だったのでしょうか。

孫に「もう家に行きたくない」と言われる

Dさんの家は、昔ながらの木造住宅。隙間風があって、冬は寒く、夏は暑い。しかも物が多くて、どうしてもホコリっぽい。孫が遊びに来ても、「寒い」「なんかホコリっぽい」と落ち着かない様子。

トイレにウォシュレットもなくて、「もう行きたくない」と言われてしまう。エアコンの買い替えやリフォームを「まだ使えるから」と先延ばしにした結果、家の快適さが下がり、孫の足が遠のく。これ、ちょっと切ないですよね。