滋賀県の琵琶湖で夜釣りをしていた男性が、岩場に人の足らしきものを発見したのは令和6年のことだった。恐る恐るライトを照らすと、紺色の上着に灰色のシャツ姿の中高年男性が静かに波に揺られていた。近くの砂浜に残されたズボンと財布から身元が判明し、遺体は現場から70キロほど離れた地方都市に住む不動産会社社長のAさん(当時55)と確認された。
捜査の糸口となったのは自宅の防犯カメラだった。遺体発見の2日前から不審な男女が出入りする映像が残されており、さらに遺体発見当日の未明には、遺体を家の中からズルズルと引っ張り出し、車に積んで走り去る男の姿まで記録されていた。
また、Aさんの会社名義のキャッシュカードで合計400万円が不正引き出されていた事実も浮上し、やがて現役ソープ嬢のB(同27)と、その常連客C(同45)が逮捕された。
「あなただけは特別よ」――女が仕掛けた甘い罠
Bには、男性から金を引き出す巧妙な手口があった。客として親しくなると「5万円」で店外デートを持ちかけ、「私は奨学金や親の借金のために働いている」と身の上話を打ち明けながら、「あなただけは特別よ」と交際しているかのように振る舞うのだ。
この罠にはまったCは、同じマンションの部屋を自名義で借り、初期費用18万円に加えて毎月9万円の家賃まで負担するようになった。婚姻届にも署名し、「結婚してくれるなら返さなくていい」と考えながら、最終的に1200万円以上を貢ぎ続けた。
Aさんも同じ手口の標的となった。代々の資産家一族であるAさんから、Bは実に2400万円を引っ張りだしていた。
Bのソープ嬢としての月収は250万円。人を殺してまで金を集めたのには、「あるワケ」があった……。
