NHK連続テレビ小説『あさが来た』の亀助役でブレイクし、一躍その名を全国に轟かせた俳優の三宅弘城さん。同作含め“愛すべきとほほキャラ”の印象が強いが、この度、なんとあの『ロミオとジュリエット』のロミオ役を舞台で演じるという。しかも演出を手掛けるのは、小誌連載でもおなじみの宮藤官九郎さん。意表を突く人選に、早くも話題沸騰中だ。
「宮藤くんも文春の連載で『どうしてアナタがロミオなの』って書いてましたけど、演じる僕自身が一番そう思ってます。だってこれまでディカプリオとか佐藤健さんが演じてきた役ですからね。しかし宮藤くんはうまいこと書きますね。『どうしてアナタは』の“は”が“が”になっただけで、全然違う意味になりますもんねえ」
三宅さんは舞台歴30年のベテランで、「ナイロン100℃」の看板役者のひとりとして活躍してきたが、シェイクスピア劇は今回が初めて。今年は50歳という節目の年でもある。
「声をかけてもらわなければシェイクスピアはやらなかったでしょうね。この道に入ったのも演技の勉強をして……みたいな正統な入り方ではなかったですし、逆に既製のものをブッ壊すような舞台を見たり演(や)ったりして何周もした結果、今、古典をやることになった。それが新鮮なんです。だって僕、いまだに『マクベス』も宮藤くんが書いた劇団☆新感線の舞台『メタルマクベス』でしか知らないし、結局まだ『ロミオとジュリエット』も読んでない(笑)。でもとりあえず、やれるものはなんでもやっておこうって思うタイプなんです。やってみておもしろくないものなんてないと思いますしね」
Eテレの子供向け番組『みいつけた!』では、体操のおじさん「みやけマン」として器械体操部出身ならではのキレを披露し、パンクバンド「グループ魂」では、「石鹸」の名で学生時代から続けてきたドラマーを務めるなど、「やって」みた結果、プロ顔負けの域に達してきた三宅さんだけに、どんなロミオを生み出すのか、期待は高まる。
「ロミオだからって別に二枚目じゃなきゃいけないってことはない(笑)。実際、老若男女、美しい人もそうでない人もみんなが恋しているわけで、“好き”っていう本能的な気持ちを大事にして演じていけたらなと思っています。そうそう、シェイクスピアファンの方って、どこを削ってなにを残すかというところにセンスを見るそうなんですよ。皆川猿時くんと僕がジュリエットを取り合うだけでも間違いなく見たことのない『ロミジュリ』になるとは思いますが、シェイクスピアや『ロミジュリ』を好きな方に感心してもらえるような舞台にしたいですよね。とにかく怒られたくはないんで(笑)」
みやけひろき/1968年生まれ、神奈川県出身。93年、「ナイロン100℃」の旗揚げに参加以降、同劇団の公演のほか、数多くの舞台に参加。映画やテレビドラマにも多数出演している。また“石鹸”名義でロックバンド「グループ魂」のドラムを担当。音楽フェスにも出演するなど、多方面で活躍中。
INFORMATION
M&Oplaysプロデュース『ロミオとジュリエット』
東京公演:11月20日~12月16日 本多劇場。東京公演後、新潟、大阪、愛知公演あり。チケット発売中
原作:W・シェイクスピア
演出:宮藤官九郎
出演:三宅弘城、森川葵、勝地涼、皆川猿時、田口トモロヲ ほか
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