昭和に日本で生まれたシティポップが時を経て今、海外で大人気。中でも脚光を浴びるのが高中(たかなか)正義だ。今年開催したワールドツアーの盛況ぶりから同世代スターたちとの交流秘話まで、スぺシャルインタビューをお届けする。

「自分はこんなに人気がある人だったのか、と。しかも海外で。ビックリですよ。ロサンゼルスでライブを終えて会場を出たら、何十人も若いファンが出待ちしていて。その時、テレビでみた光景、大谷翔平選手が球場でファンサービスを丁寧にしていたのが頭をよぎってね。僕もやんなきゃと思ってすごい数のサインをしました。もしもこれが夢だったら、さめないでほしい」

 ドジャースの本拠地で“オオタニサン”ばりの歓迎を受けたことを振り返るのは、ギタリスト・高中正義(73)である。

ADVERTISEMENT

単独取材に応じた高中正義さん

キャリア初となるワールドツアーが全て完売

 ソロデビューアルバム『SEYCHELLES』を1976年7月にリリースして50年。今、高中が海外で大人気なのだ。今年3月からはキャリア初となるワールドツアーを開催。ロンドン、ロサンゼルス、シドニーなどの8都市を巡り、ツアーは全て完売した。

「ライブ中は、ギターのフレーズを間違えないように、お客さんよりも手元を見るので忙しい。後で映像をみたら、観客席に僕と同じ赤いスーツに黒の蝶ネクタイの軍団があちこちにいて、中には(高中のトレードマークである)サーフボードギターを持参してきた人までいたね」

全て完売だったワールドツアー

 なぜ今、高中なのか。それは、70〜80年代にかけ日本で流行したシティポップが海外で人気を博していることに起因する。松原みき「真夜中のドア〜Stay With Me」(79年)や竹内まりや「Plastic Love」(84年)がその代表格。バブル期前夜の東京の空気感を映し出す、都会的で洗練されたサウンドが特徴だ。

 日本のギター・インストゥルメンタルの第一人者である高中の曲はいわば“歌わないシティポップ”。代表曲『BLUE LAGOON』(79年)に象徴される、リゾートを彷彿とさせるギターサウンドが国境を越え、海外で再発見された。

 特に大ヒットアルバム『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』(81年)は海外でも大きな支持を得ているという。インターネット上の音楽配信サービスでは、高中の曲を再生する人の90%以上がUS・UKを中心とした海外リスナーだ。