2/2ページ目
この記事を1ページ目から読む
一反の白生地から始まった「桜のきもの」
私は、その頃から、書くことに加えてきものにいちだんと力を入れ、おかげで宇野千代きものは徐々に拡大することになりました。この間のことは、今まで、いくつかのエッセイにも書きましたが、原稿料で算段したたった一反(いったん)の白生地がその元手になったのです。桜の花のデザインが定着したのもこの頃からでしたでしょうか。
桜の花は幸福のシンボルです。この幸福を象徴する花が私のきもののデザインの特徴となったことに、何か、深い因縁のようなものを感じます。(後略)
宇野千代が幸福について語ったのは、離婚や倒産からの立ち直り方だけではない。本書では、仕事を続けること、おしゃれ、恋愛、人とのつき合い、暮らし、故郷、そして老いについて、95歳までに得た考えを10の項目に分けて語っている。何度つまずいても常に明るい気持ちで人生を歩んだのは、何を考え、どう行動してたからなのか。その答えを、宇野千代本人の声で読み通せる貴重な一冊である。
