平均年齢85歳の超高齢読書サークルを舞台にした新作『よむよむかたる』が話題の朝倉かすみさんと、認知症の父親とその家族を描く『長いお別れ』(2019年に映画化)の作者でもある中島京子さん。
朝倉さんのお母さんにとって「生きがい」となった読書会の話、90代でパソコンを使いこなす中島さんのお母さん、シニア世代になってますます元気になる秘密とは? そして自らの老いについても大いに語り合いました。
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お年寄りを見てると、驚きと好奇心が止まらない
中島 朝倉さんはいつ北海道に転居されたんですか?
朝倉 コロナ禍も終盤になった2022年の夏頃です。コロナ禍の最中にうちの父親が亡くなって死に目にも会えませんでした。それで、うちの母がちょっと弱っちゃったんですね。当時はまだコロナに勢いがあったので、東京にいると行き来すること自体もままならなくて。母が元気なうちにたくさん会っておきたいなと思って、東京から引っ越すことにしました。
中島 今回の『よむよむかたる』は、小樽が舞台ですよね。
朝倉 出身が小樽市で、とても愛着のある街です。
中島 すっごく面白かったです。私は、まだ小樽には行ったことがないんですね。でも、街の空気とか、そこで生きている人の感じが小説から伝わってきて、いいな、素敵だな、と。
朝倉 その感想は嬉しい! 土地ならではの空気ってありますよね。その空気は、その土地に暮らしている人の雰囲気にも関わっている。
中島 今、ウクライナやガザで戦争があったりして世相が暗いので、読んだ後に温かい気持ちになれたのが嬉しい。出てくるお年寄りたちがとにかく魅力的でした。ほら、私、お年寄りが大好きだから(笑)。
朝倉 確かに中島さんの小説は、お年寄りがよく出てくる(笑)。
中島 子どもの頃、年寄りに囲まれて育っていたんです。うちの父親が7人兄弟の末っ子で、一番上のお姉さんと20歳離れているんですね。伯父さん伯母さんが、年齢的にはおじいさんおばあさん。みんなが集まって、戦争の話なんかをしているところにちんまり座っているのが好きな子どもでした。年寄りって皴の中、その人の中に歴史が詰まっているなぁみたいなことを子どもながらに思っていたんですよね。
朝倉 年寄りを見ていると、驚きと好奇心が止まりません。ワンダーバイワンダーで、次から次へと驚かされることばかりです。見ていて興味がつきません。
中島 わかる(笑)。